2015年、「クーリングオフ」の制定でケータイビジネスが一変するかもしれないキャッシュバックも月々割も消える?(3/5 ページ)

» 2014年05月27日 08時00分 公開
[山崎潤一郎,Business Media 誠]

ケータイショップでのトラブル解消が主目的に

photo ドコモが先日発表した料金プランでは、新しく“通話し放題”のものも登場した。携帯キャリアが提示する料金プランやオプションは種類が多いうえ、ひんぱんに変わったり、追加したりするのでユーザー側が完ぺきに把握するのは難しい

 経緯を振り返れば分かるように、本来、訪問販売と電話勧誘販売が対象だったはずが、ケータイショップの「トッピングビジネス」(オプション盛りや抱き合わせ販売の総称)に対する苦情が急増したことで、「ケータイショップの窓口販売にまでクーリングオフの網がかけられそうな勢い」(総務省研究会の元構成員)なのだという。

 通常、通販や店頭販売では、ユーザーが自らの判断でサイトやカタログを見て、あるいは店舗に出向いて購入を決断するので「考える時間は十分にあった」ということで、クーリングオフは適用されない。

 しかし、携帯電話の場合は、通販や一般的な店頭販売とは事情が大きく異なる。多くのユーザーにとって、難解な料金体系と複雑に入り組んだ付加サービスは、1度や2度説明を聞いただけで理解するのは難しい。不要なオプションを盛られたからといって“理解できなかったアンタが悪い”と断罪するのは、あまりにかわいそうだ。携帯電話販売に絡む苦情が多いのは事実だし、契約以外にも「購入したが自宅でつながらない」といった携帯電話特有の問題もある。

photo ソフトバンクモバイルでは、電波のつながりやすさに不満がある場合、契約から8日以内であれば解約できる「電波保証プログラム」というキャンペーンを実施している

 通信キャリア側も努力はしているようだ。例えば“つながらない問題”などはサポートに連絡すれば、ホームアンテナの貸与など、それなりに対応してくれるし、ソフトバンクモバイルでは、契約日当日から8日以内であれば返品できる「電波保証プログラム」を実施している。過度なオプション盛りも控えるように、販売店を指導しているという。

 しかし、キャリアから販売店に渡る手数料や奨励金といった収益の体系が、回線や端末、オプションの売り上げに依存する以上、スタッフの尻を叩いて強引な販売を行う店舗が出てきて当然だし、それを指導すべき立場の支社や販社も、成績向上のために黙認する可能性は高い。

 フィーチャーフォンやAndroidと比較して、代理店の利益が少ないというiPhoneが人気の昨今、オプション盛りのほか、フォトフレームやキッズケータイの抱き合わせ販売で利益を稼ぐ手口が横行しているという。筆者もつい先日、店舗スタッフの「通話が多いお客様のために“裏技”があるんですよ」という、言葉巧みなキッズケータイの勧誘を体験したばかりだ。

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