経緯を振り返れば分かるように、本来、訪問販売と電話勧誘販売が対象だったはずが、ケータイショップの「トッピングビジネス」(オプション盛りや抱き合わせ販売の総称)に対する苦情が急増したことで、「ケータイショップの窓口販売にまでクーリングオフの網がかけられそうな勢い」(総務省研究会の元構成員)なのだという。
通常、通販や店頭販売では、ユーザーが自らの判断でサイトやカタログを見て、あるいは店舗に出向いて購入を決断するので「考える時間は十分にあった」ということで、クーリングオフは適用されない。
しかし、携帯電話の場合は、通販や一般的な店頭販売とは事情が大きく異なる。多くのユーザーにとって、難解な料金体系と複雑に入り組んだ付加サービスは、1度や2度説明を聞いただけで理解するのは難しい。不要なオプションを盛られたからといって“理解できなかったアンタが悪い”と断罪するのは、あまりにかわいそうだ。携帯電話販売に絡む苦情が多いのは事実だし、契約以外にも「購入したが自宅でつながらない」といった携帯電話特有の問題もある。
通信キャリア側も努力はしているようだ。例えば“つながらない問題”などはサポートに連絡すれば、ホームアンテナの貸与など、それなりに対応してくれるし、ソフトバンクモバイルでは、契約日当日から8日以内であれば返品できる「電波保証プログラム」を実施している。過度なオプション盛りも控えるように、販売店を指導しているという。
しかし、キャリアから販売店に渡る手数料や奨励金といった収益の体系が、回線や端末、オプションの売り上げに依存する以上、スタッフの尻を叩いて強引な販売を行う店舗が出てきて当然だし、それを指導すべき立場の支社や販社も、成績向上のために黙認する可能性は高い。
フィーチャーフォンやAndroidと比較して、代理店の利益が少ないというiPhoneが人気の昨今、オプション盛りのほか、フォトフレームやキッズケータイの抱き合わせ販売で利益を稼ぐ手口が横行しているという。筆者もつい先日、店舗スタッフの「通話が多いお客様のために“裏技”があるんですよ」という、言葉巧みなキッズケータイの勧誘を体験したばかりだ。
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