2015年、「クーリングオフ」の制定でケータイビジネスが一変するかもしれないキャッシュバックも月々割も消える?(2/5 ページ)

» 2014年05月27日 08時00分 公開
[山崎潤一郎,Business Media 誠]

なぜクーリングオフが制定されるのか

 そもそも、この通信サービスにおけるクーリングオフは、2008年に設立した総務省の研究会(電気通信サービス利用者懇談)で議論が始まった。光回線やプロバイダの契約競争が激化し、代理店による訪問販売や電話勧誘販売への苦情が増加したためだ。消費者センターや消費者系弁護士などは「特商法では訪問販売や電話勧誘販売にクーリングオフがあるのに、電気通信サービスは特商法の適用外で、消費者が保護されないのは問題がある」と主張していた。

 それに対し、クーリングオフの法制化を避けたい総務省と通信業界は、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」を設立。この件をガイドラインの作成と、自主ルールの見直しで乗り切ろうとした。2年間様子を見てトラブルが減れば、法制化を見送る算段だったが、それから2年でトラブルは減るどころか、増加の一途をたどることになる(2013年9月公開、「スマートフォン安心安全強化戦略」報告書による)。

 その理由はケータイショップ。訪問販売や電話勧誘だけではなく、携帯電話の店頭販売において新たなトラブルが発生したのだ。「余計なオプションに加入させられた」「家で電話が全然つながらない」「キャッシュバックが約束通りもらえない」「キッズケータイまで押しつけられた」と、トラブルの内容も多岐にわたる。

 苦情が増加してしまったため、総務省もついにクーリングオフの法制化に向けて動き出した。現在、電気通信事業法にクーリングオフ(または類似の規定)の要素を入れる方向で検討中という。通信サービスを特商法の適用範囲にする、というアプローチも可能だが、電気通信サービスが経済産業省や消費者庁の管轄に入ることになり、「霞が関的な縄張り争いで実現が難しい」(総務省研究会の元構成員)そうだ。

photo 通信サービスにおけるクーリングオフ制度検討に向けての動きをまとめた

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