なぜ米国ではなく、ドイツに? ビッグデータを構築した男が選んだ道上阪徹が探る、リクルートのリアル(4/5 ページ)

» 2014年05月16日 08時00分 公開
[上阪徹,Business Media 誠]

“砂場”的環境

 社内的に高い評価を得てきた中野氏だが、実は本人はケロリ、な様子。モチベーションは、実はそこだけにはないらしい。

 「食いつくこと自体の楽しさと、あとは同じフィールドにいるエンジニアからの評価ですよね。ネット上のコミュニティもそうですけど、先端的なエンジニアがたくさんいるわけです。そういうところから『お、やってるな』的な空気感をもらえるというか、ドヤ顔ができるところが、楽しいんです」

 いち早く「Hadoop」という技術に出会い、それを大胆にも日本で初めて導入しようとしたことも、このあたりと関係があるようである。

 「それが正解か、そうでないのか、答えは正直分からない。でも、尖ったエンジニアたちと、お互いに何をしてるのか、みたいな空気感の中にいると、そういうものがおぼろげに見えてくる。効果をみんなも期待するし、やるんだろうな、というのは僕の肌感覚的には、ある意味、当然な状態だったんです。当たるか当たらないか、という感じではなくて」

 ではなぜ、そうしたコミュニティでコミュニケーションが交わせているのか。リクルートという会社に、その環境があるから、だという。中野氏のいう“砂場”的環境が、エンジニアに大きな刺激を与えているのだ。しかも、200を超えるサービスがある。試せるフィールドがたくさんある。

 「完璧なロジックがなかったとしても、やらないといけないと思っていることが止められちゃった的な経験は、まずないですね」

 社内のロジックについては最初の配属で学べたところもあったというが、エンジニアとしてやりたいことが面倒なくやれる環境は、かなり魅力的だと語る。そしてもうひとつ大きな魅力だというのが、リクルートでエンジニアをやっている意味だ。

 「メーカーやソフトハウスに勤めていたら、と思うと、決定的に違うのは、技術を提供する相手が仲間であり同僚だということなんです。実際、喜んでもらえたら、よかったよかったと、従兄弟の子が何かに合格したような気分になる。幸せ感がちゃんと共有できるんです。『R25』のシステムを担当していたときも、編集長の喜ぶ顔が見たくてやっていたところもありました。自分のPCの中だけで動いて得られる満足だけでは、面白くないんです。しかも、技術がうまく活用されますからね」

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