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» 2014年05月08日 08時00分 UPDATE

伊吹太歩の時事日想:米国では、女性の5人に1人がレイプに遭っているという事実 (1/3)

最近、米国では大学内でレイプ事件がまん延し、政府が対策を迫られるほどの社会問題に発展していることをご存じだろうか。もはや、世界中のどこにいても、レイプの危険性を頭の片隅に置いておくべきなのかもしれない。

[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。


 今、米国を中心に話題になっている動画がある。6代目ジェームズ・ボンド役で知られるダニエル・クレイグが、Gジャンのえりを立て、おしゃれなカフェでこのように語りかけるのだ。

If I saw it happening, I'd never blame her. I'd help her.

(もしそんなことが目の前で起きたら、私は彼女を非難しない。彼女のことを助ける)

 彼の言う“そんなこと”とはレイプのこと。特に大学内で起きるレイプ事件のことを指している。米国では最近レイプ事件が大学内でまん延し、社会問題になっていることをご存じだろうか。

 このレイプ問題については、バラク・オバマ米大統領も無視できなかったようで、最近、政府を挙げた一大キャンペーンが繰り広げられている。冒頭のダニエル・クレイグによるセクシー過ぎるメッセージも、政府が制作した啓発動画の1コマだ。動画にはキューバの革命家でゲリラ指導者であるチェ・ゲバラを映画『チェ』で演じたベニチオ・デル・トロのほか、バラク・オバマ大統領なども登場し、2014年5月8日現在、YouTubeでの再生回数は100万回を超えている。

 国主導のプロジェクトで「ボンド」や「ゲバラ」が登場するとは、米国の大学ではいったい何が起きているのか。

超名門大学で次々に起こるレイプ事件

 まずは最近起きた事件を紹介しよう。例えば、超名門のイエール大学では2014年2月、立て続けに2件のレイプ事件が発生したという。4月にはアイオワ州のセントラルカレッジでレイプ加害者が復学していることが問題となった。さらに同月、イエールと同じアイビーリーグ(米国東部の名門私立大学8校からなる連盟)のブラウン大学でも、加害者が復学していることが議論になった。

 さらに、同じくアイビーリーグのコロンビア大学では、レイプ被害者に対して学外に問題を報告しないよう伝えていたことが判明。オバマ大統領夫妻の出身校であるシカゴ大学や有名大学のタフツ大学も、レイプ加害者への処分方針について批判を受けている。このように、名門大学などで事件が相次いでいるため大々的に報じられているのだ。

photo 米国の名門大学で次々とレイプ事件が起きている(出典:イエール大学)

 今回の問題では、事件そのものとともに、レイプを深刻に捉えていないようにも見える大学側の対応にも注目が集まった。多くの場合、レイプ加害者も1学期の停学処分程度で済んでおり、退学処分になることは少ない。そうした甘い処分が女性の生徒を不安にさせ、犯罪の抑止にもならないという議論が噴出している。

 対応の甘さという点では、批判は大学だけではなく、警察にも広がっている。2013年にフロリダ州立大学の有名アメフト選手がレイプで告訴される事件があったが、2014年4月にニューヨークタイムズ紙が、彼に対する捜査が非常にずさんだと報じ“地元の英雄”に対する捜査の甘さを指摘した。この記事もまた、大学とレイプの議論に油を注いでいる。

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