プーチンが「人類の救世主」になる日グローバルエリートから見た世界(2/4 ページ)

» 2014年04月10日 00時00分 公開
[原田武夫,Business Media 誠]

マーケットの猛者が語ったこと

マーケットの猛者がかたったことは……(写真はイメージです)

 私がここで書きたいことは、“通俗的”な議論ではない。国際社会全体のフレームワーク(枠組み)を想い描くグローバルエリートの目から見ると、果たして今回の併合劇はどのように見えるのか、ということである。このことについて、先日、私の盟友の1人である「マーケットの猛者」が次のように「思考の補助線」を引いてくれた。

 「新約聖書の『ヨハネの黙示録』を知っていますか? あれに限らず、いわゆる預言書に相当する書物は古今東西を問わず、1つの決まったパターンで記されているんですよ。まず世界全体が大変なことになり、人々は『よもやこれまで』と思うようにまでなる。ところが世界が滅亡するという寸前に『預言者』と『救世主』が現れる。そしてその預言どおりに救世主は動き、世の中を救う。

 人々はこれで救われたと安心するわけですが、ややあって気付く。『事態は実のところもっとひどくなっているのではないか』と。その結果、人々は彼らが『ニセ預言者』であり『ニセ救世主』であったことにようやく気付くわけですが、時すでに遅し。事態はますますひどくなる中、なすすべもなく人々はぼうぜんと立ち尽くす。

 ところがその時、『本物の預言者』が登場し、『本物の救世主はこの人物だ』と指し示す。そしてこの本物の救世主により世界はいよいよ救われることになるというわけなのです」

 何をいきなり、と思うかもしれない。だが、欧米のグローバルエリートにとってこうした「預言書」「黙示録」は特別の意味を持っている。もっと言うと単なる思い込みや憶測ではなく、「実際にこれから起きること」を描いているシナリオとして捉えられている可能性は十分あるというわけなのだ。

 いや、正確にいうと「すでにシナリオである」というわけではなく、「そこに描かれているとおりに現実を動かすことによって、これからそれがシナリオとして認知されるようになる」ということなのかもしれない。キリスト教信者は全世界で20億人ほどいると考えられている。世界人口が約70億人であることを考えれば約3人に1人弱が「キリスト教信者」という計算になる。

 そしてそれだけたくさんの信者たちが聖書を毎日のように読んでいるのである。当然「黙示録」の内容も頭に入っているわけであり、文字どおり思考のフレームワークとなっているはず。そこにこれから起きる現実が合致するように動いたならばどうだろうか。人々は「どこかで読んだことのある展開になってきたぞ」と敏感に反応し、その方向へと自らを誘導していく可能性があるのだ。

 その意味でグローバルエリートの視点から見ると、国際社会で現在行われているあらゆる出来事は、このシナリオの中で自らをどのように位置付け、それによって最も有利な立ち位置で次の時代を迎えようとするさまざまな勢力によるせめぎ合いの結果なのである。当然、そこでの焦点は「結局、最後に勝ち残り、世界のリーダーになる『本物の救世主』は誰なのか?」ということになってくる。

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