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» 2013年11月19日 08時00分 UPDATE

博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:どんな“つながり”を求めていますか? ソーシャル時代の3つの欲求 (1/4)

ネットのおかげでどこにでもすぐに行った気になれますし、知らないことは検索すればすぐに分かるし、ソーシャルメディアを使えば誰とでもすぐにつながれる世の中になりました。でも、そんな世の中になったからこそ、生まれてくる欲求もあるようで……。

[吉川昌孝,Business Media 誠]

吉川昌孝のデータで読み解く日本人:

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 30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、生活総研オリジナル調査「生活定点」などのデータを用いて、“時代の今とこれから”を読み解きます。

 「生活定点」とは、1992年から20年間にわたって隔年で実施している時系列調査。衣食住から地球環境意識に至るまで、人々のあらゆる生活領域の変化を、約1500の質問から明らかにしています。現在、生活総研ONLINEで20年間のデータを無償公開中。こうした生活者データから得られる“ターゲット攻略のヒント”はもちろん、ビジネスパーソンの日々の仕事に役立つ“データを読み解く技術”などもご紹介していきます。


著者プロフィール:吉川昌孝

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 博報堂生活総合研究所研究員、および動態研究グループ・グループマネージャー。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、同年、博報堂入社。マーケティングプランナーとして得意先企業のマーケティング戦略立案業務を担当。2003年より生活総合研究所客員研究員となり、2004年より生活総合研究所に異動。2008年より未来予測レポート『生活動力』のプロジェクトリーダー。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2008年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。


 英国ロックバンドOasisのヒット曲「Whatever」では、自分は何にでもなれるし、君も自由にどこにでも行けるんだよ、と歌います。さすがに何にでもなれるわけではありませんが、ネットのおかげでどこにでもすぐに行った気になれますし、知らないことは検索すればすぐに分かるし、ソーシャルメディアを使えば誰とでもすぐにつながれる世の中になりました。でも、そんな世の中になったからこそ、生まれてくる欲求もあるようで、今回はそんな古くて新しい欲求について、ご紹介します。

「地元に帰ろう」……でも、そもそも地元って?

 まずは下の生活定点のグラフをご覧ください。「関心のある情報」について聞いた中で「地域(ローカル)の出来事」と答えた人の割合の推移です。

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 地味ですが、ここ10年以上着実に上昇していることが分かります。「ジモティー」なんて言葉も生まれてから相当時間が経っているように感じます。同じ意味でロコなんてのも定着しつつありますよね。今年大ヒットしたドラマ『あまちゃん』でも、主人公の入るアイドルグループはGMT5(G=ジ、M=モ、T=ト)でしたし、「どこが自分の地元なのか」はこのドラマの大きなテーマの1つでもあったと思います。

 どこにでも行けるからこそ、どこの場所の情報でもすぐに入ってしまうからこそ、どこに自分の根っこがあるのかが大事。自分の故郷=地元というよりもむしろ、自分の心の置きどころ=ホームポジションとしての地元が大切になってきている気がします。

 「若者はネットやメディアを通じて、有名な場所や観光地など疑似体験してしまうこともあり、旅行、特に海外に行くことにあまり大きな意味を感じない。地元の狭いコミュニティに身を置くほうが満足できる」といったような意見がよく言われますが、果たしてそうでしょうか。故郷=地元で十分というよりも、どこにでも行けるからこそ、自由に自分が一番落ち着けるところを渇望する、それが「地元に帰ろう!」というメッセージへの共感の中身だと思います。

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