どんな“つながり”を求めていますか? ソーシャル時代の3つの欲求博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(2/4 ページ)

» 2013年11月19日 08時00分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]

「師匠」はいますか?

 またしてもグラフで恐縮です。「師と呼べるような尊敬できる人が欲しい」についての性年代別のグラフです。

 男性の20代では常に3割以上の数字で推移していることが分かります。検索すれば何でも知ることのできる今だからこそ、自分にとって刺激になり尊敬できるような存在を欲する気持ちが高まっているのかもしれません。文章説明だけでは伝わりきれない、その人が醸し出すオーラや面持ちなど、ネットでは伝えきれない情報の価値が、ネットが普及すればするほど相対的に高まっているのでしょう。

 生活総研の山本研究員も紹介していますが(参照リンク)、山伏体験にも、それこそ100人近くの人が集まるような昨今。「山伏と僕」といった修験道関連の本も話題のようです。ビジネスパーソンのキャリア開発の領域でも、これまでのようなスキルやナレッジの習得に加えて、自分を導いてくれるメンターやEQ(Emotional Intelligence Quotient こころの知能指数)の重要性が強調されています。言語化できる知識よりも、自分の潜在意識に内在する価値観など暗黙知的なものへの注目は日に日に高まるばかりです。習い事についても、その技能を身につけるために通うというよりも、弟子入りしてその世界に自分の身を置くことを楽しむといった傾向も、こうした流れに拍車をかけているようです。

 ネットですぐに分かることだけでは満足できず、ネットの中にはない知識や体験を求める気持ちが高まっている。その高まりを満足させるため、前述のような山伏体験や弟子入り体験などの機会を探しだすという行動。このように「思い立ったが」即行動できるのは、逆説的ですがネットがあるからであり、上記のような機会はそれこそ検索すればすぐに見つけられるわけです。ネットが当たり前になってしまったからこそ、ネットにはない価値を求め、その価値を手に入れるために、やはりネットを使うといった、そんなネットとの付き合い方が広まりつつあるようです。

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