運動団体というのは、どんなに世間から白い目で見られようとも、自らの信条にもとづいて「運動」をする。だから、タバコをうまそうに吸う主人公が登場する話題の映画が公開されれば、当たり前のようにクレームを入れる。そこには「売名行為」や「炎上マーケティング」という発想はない。彼らは自分たちの「やるべきこと」をしただけだ。
2008年に公開された押井守監督の『スカイ・クロラ』でも、子どもが喫煙をするシーンがあったので「禁煙学会」はすぐに食いついた。『風立ちぬ』に比べものにならないほど激しい口調で苦言を呈し、最後はこんな質問を浴びせている。
次回の作品では喫煙シーンを排除しますか?
「表現の自由」よりも「タバコの害悪」が勝る。彼らは本気でそう信じている。それをよくあらわしているのが、「禁煙学会」が2007年より主催している「無煙映画大賞」だ。
喫煙シーンがない映画作品を「後世に残る素晴らしい作品」などとと褒めちぎって賞を授ける一方で、喫煙シーンの多い映画については、「汚れた灰皿賞」(モクモク賞)として糾弾している。ちなみに、2012年の受賞作は、やはり昭和30年代の喫煙におおらかな時代を描いた『ALWAYS 三丁目の夕日'64』。この流れでいけば、『風立ちぬ』が同賞の最有力候補だろう。
ちなみに、モクモク賞は映画だけではない。2009年に放映された佐藤浩市さん主演の『官僚の夏』も受賞し、こんな感じで、ぶった斬られている。
敗戦後の昭和30年代の通産官僚と産業界の奮闘を描いたドラマ。主人公を含めた官僚のほとんどが場所を選ばず喫煙し、多くの場所に灰皿が置いてある。喫煙を美化される恐れがある危険なドラマである。
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