コラム
» 2013年08月15日 08時00分 UPDATE

博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:日本人の旅スタイルは「安・近・短から弾・参・縁」に――その意味とは (1/3)

生活定点データによると、夏休みに旅行をしている人は減少しています。長期休暇を取得する人も増えていない中で、帰省する人が増加しています。日本人の旅行スタイルにどんな変化が起きているのでしょうか。

[吉川昌孝,Business Media 誠]

博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:

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 30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、生活総研オリジナル調査「生活定点」などのデータを用いて、“時代の今とこれから”を読み解きます。

 「生活定点」とは、1992年から20年間にわたって隔年で実施している時系列調査。衣食住から地球環境意識に至るまで、人々のあらゆる生活領域の変化を、約1500の質問から明らかにしています。現在、生活総研ONLINEで20年間のデータを無償公開中。こうした生活者データから得られる“ターゲット攻略のヒント”はもちろん、ビジネスパーソンの日々の仕事に役立つ“データを読み解く技術”などもご紹介していきます。


著者プロフィール:吉川昌孝

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 博報堂生活総合研究所研究員、および動態研究グループ・グループマネージャー。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、同年、博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業のマーケティング戦略立案業務を担当。2003年より生活総合研究所客員研究員となり、2004年より生活総合研究所に異動。2008年より未来予測レポート『生活動力』のプロジェクトリーダー。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2008年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。


 あなたは夏休みを取って旅行などしましたか? それともこれからですか? 生活定点データによると「夏休みに旅行した」のは、1998年41.7%から2012年34.7%と下降の一途。「1週間以上の長い休暇を取る」の数字も伸び悩み、有給休暇の取得日数も世界で最下位レベルの日本人(参照リンク)。一方で、「帰省した」人は過去20年で10ポイント以上上昇。さて、日本人の旅行スタイルにどんな変化が起きているのでしょうか。

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かつての「安・近・短」旅行は、いまや「弾丸ツアー」へ

 世界文化遺産に登録された富士山への「徹夜弾丸登山」や、かつての「0泊3日ワールドカップ弾丸観戦ツアー」など。極端に濃縮された旅行日程を見るのも普通になってきました。長期休暇が取りたくても取れないのか、それともそもそもそんなに長く休みたくない人種なのか、そう思いたくなるほど、旅行の弾丸化は広まっているようです。

 一緒に行く人との予定が合わない、調整が大変ということも、旅行日程を短縮化せざるを得ない理由の1つでしょう。かつてはお盆の時なら皆一斉に休業状態でしたが、休みの分散化傾向は年々強まるばかりで、職場で交代で休みを取ることも当たり前になってきてます。

 日程調整が大変なのは働く者同士だけではありません。家族とだって調整は一苦労です。夏休みに入ると子供は部活、習い事、またそれらの合宿と、通常と同じくらい、いやそれ以上に忙しくなります。共働きもいまや夫婦の半分以上。お父さんの仕事の予定、お母さんの仕事の予定と、全員が合う日を探したら、旅行の日程が短くならざる得ないのも、当然と言えば当然の状況です。

 日程は短くせざるを得ず、でも、中身の濃さは変わらず確保したい。となると、自ずと日程は弾丸化、内容は濃縮化していきます。旅行パッケージだけでなく、個人で企画する旅行も弾丸ツアー的になっていくでしょう。

 極端にいえば、現地集合・現地解散も辞さない、いや、当り前。行きたい時にそれぞれが行き、滞在できるだけ滞在し、帰れる時に帰る。そうなると、予定を合わせず「じゃ、当日に」ということで、特に約束もせず、旅先で偶然に会うことを基本に現地に向かう。そんなスタイルも、フジロックフェスティバルなどの大規模な野外音楽フェスティバルなどを中心に、数多く見受けられるようになってきてます。そうして偶然性を高めた人がかえって実際に出会った時に、異様に盛り上がったりするものです。

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