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» 2013年07月16日 17時26分 UPDATE

家電からクルマのバルブまで――フィリップス・ドイツアーヘン工場見学記 (1/2)

ガス灯が主流だった1920年代、電球の量産化に成功したことから始まったフィリップス。今も同社の自動車電球は多くのメーカー純正品として採用されており、特にキセノンバルブの生産量は世界No.1を誇る。

[栗山晃靖,Business Media 誠]
誠ブログ

 ハンドル脇のスイッチを「パチッ」とひとひねりするだけで、前方を明るく照らしてくれるクルマのヘッドライト。最近は周囲の明るさを自動検知して点灯する「オートライト機能」がついたクルマも増えているので、ヘッドライトそのものを意識する機会は減ってきた。とはいえ、夜間走行において、なくてはならない存在であることに変わりはない。

 そんなヘッドライトにおいて核となるのがバルブであり、バルブ製造においてパイオニアと呼べるのがオランダに本拠を構えるフィリップス(正式名称ロイヤル フィリップス/旧社名ロイヤルフィリップスエレクトロニクス)だ。

ay_phi04.jpg ガス灯が主流だった1920年代、電球の量産化に成功したことからフィリップスの歴史は始まった。特に自動車用電球では世界No.1の地位を占める(出典:Philips公式サイト)

 日本国内でフィリップスと言えば家電メーカーとしてのイメージが強いが、会社そのものは1891年に電球製造工場としてスタートした。世界で初めてハロゲンランプの量産を成功させたのも同社になる。現在は、自動車電球においては欧州車や国産車の多くにフィリップスの製品が純正採用されており、キセノンバルブ(HID)の生産量は世界ナンバーワンを誇る。ここではそんなフィリップスのフラッグシップファクトリーとも言うべきドイツのアーヘン工場に足を運んだときのレポートをお届けしたい。

ドイツ・アーヘン工場を見学

ay_phi02.jpg フィリップスアーヘン工場のファクトリーマネージャー、カール・スペクル氏

 「アーヘン工場の広さは10万平方メートル。フィリップスが持つ工場の中でも最大の規模になります」

 そう話すのはアーヘン工場のファクトリーマネージャー、カール・スペクル氏。10万平方メートルと言われてもピンとこないかもしれないが、東京ドームがすっぽり2個収まってもまだ余裕がある大きさ。一般的なハロゲンバルブや、ハロゲンの約3倍の明るさでありながら消費電力が約2分の1に抑えられたキセノンバルブの製造のほか、LED、有機EL(OLED)レーザー光線の研究・開発なども行う、重要拠点となっている。

 バルブの製造工場へ足を踏み入れると、最新の工作機械が整然と並べられている。「フィリップスの製造するバルブの特徴の1つは、主たる自動車電球であるハロゲンバルブにおいても品質の観点から石英ガラスを採用している点でしょう」

ay_phi01.jpg 今回我々が訪れたのは、バルブ製造工場のなかのほんの一部。工場内には写真のような大型の工作機械がいくつも立ち並ぶ

 そう説明してくれたのはフィリップスでテクニカル&マーケティングコンサルタントを勤めるユルゲン・メルツァー氏。石英ガラスは一般的な硬質ガラスに比べ、熱に強いという特性がある。通常の硬質ガラスであれば、水が触れるなどの急激な温度変化で割れてしまうのに対し、石英ガラスは破損することなく点灯し続ける。万が一ヘッドライト内に水が入ったときなどには、石英ガラスが大きなアドバンテージになるのは言うまでもない。さらにユルゲン氏はこう続けた。

 「バルブの中心にあるフィラメントはXYZ3軸で精度を確認しています。それが0.1ミリメートルずれるだけで、光の軸に1メートルもの誤差が出てしまうのです」

 石英ガラスの成形、結合、キセノンガスの注入方法と、フィリップスの工場には数えきれないほどの技術とノウハウがあった。そうした技術的なことに加え、工場内でもう1つ印象的だったのは、過剰とまで思えるほどの品質管理体制。専用カメラやブラックライトを使った確認に加え、目視によるチェックを何度も繰り返すのだ。

 「年間1億6000万個のバルブがここアーヘン工場で作られますが、不良品を限りなくゼロに近付けるのも技術のひとつ。製造はほとんどが機械によるものですが、それをコントロールするのは人間であり、そこにもフィリップスのノウハウがあるのです」

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