コラム
» 2013年04月17日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:世界は日本の財政再建を待ち焦がれている (2/2)

[藤田正美,Business Media 誠]
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 そして欧州はギリシャがどうやら危機を脱したように見えるが、それでもユーロ圏の危機は終わってはいない。ユーロ圏は、通貨を統一してはいるが、財政まで統一したわけではない。つまりユーロという通貨を使っていても、財政そのものは加盟する17カ国の政府の主権の下にある。さらに困ったことに、いったん国際収支が悪化しても、通貨切り下げという「競争力回復手段」を活用できない。すなわち、ユーロ圏はいちばん弱い環がいつも叩かれる構造になっているのである。

 この問題を根本的に解決するためには、ユーロ圏があたかも「ひとつの国」のようになることだ。つまり財政も統一する(政府も統一し、それぞれの国は「地方政府」になる)しかあるまい。日本政府が財政の苦しい地方自治体を支援する(地方交付税交付金)ように、欧州あるいはユーロ政府が「地方政府」を支援するような仕組みにすることである。しかし豊かな国は当然これに反対する。ドイツのメルケル首相が国外で最も嫌われている政治家であるというひとつの理由はここにある。

 欧州の回復が少なくとも今年はあまり見込めないとすれば、世界の期待は米国と日本に集まる(もちろん、中国やその他のアジア諸国の成長力は高いが、まだ自国での消費で世界経済を牽引するほどの力はない)。米国はじりじりと回復してきて、日米欧の中では最も明るい兆しがあるが、財政問題に足を引っ張られて、このところやや足踏み状況だ。だからこそ日本が注目される。

 日本はバブルがはじけて以来、GDP(国内総生産)は500兆円を上下しているものの、ほぼ横ばいだ。しかし世界第3位の経済大国であり、消費が経済を引っ張る国でもある。その日本の成長力が回復するかどうかは、世界経済にとって非常に大きな意味がある。だからこそ、安倍首相や黒田日銀総裁の発言を海外メディアが取り上げる。

 安倍首相が「3本の矢」についてはっきりしたイメージをもっていることは疑いない。だからこそTPP(環太平洋経済連携協定)も党内や支持母体である農協の反対を押し切って参加を表明した。成長戦略についても、規制改革が必要であることは十分に承知しているとも思う。ただそれでも懸念されるのは、財政再建だ。

 巨額の公的債務(政府や地方自治体の債務)を減らすという明確な意思とロードマップが必要だ。来年には消費税の引き上げ第一弾を控えているとはいえ、それによってもたらされる国庫収入はたかだか6兆円強。基礎的財政収支が20兆円を超えるマイナスであることを考えれば、まったく足りない。

 それにもし物価上昇に伴って長期金利も上昇してくれば、国債の利払いだけでも簡単に数千億円は増加し、せっかくの税収の増加を食われてしまう。安倍首相がいつこの財政再建のロードマップを打ち出すのか、そしてそれがどの程度の安心感を世界にもたらすのか。世界のメディアはそこを見守っている。

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