インタビュー
» 2013年04月03日 08時01分 UPDATE

仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編):1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた (1/6)

眼科医として一流の腕を持ちながら、米国で製薬ベンチャーを立ち上げた男がいる。現在、まだ誰もつくり出せていない治療薬を開発中だが、新薬はどのようにしてできるのか。アキュセラ社の創業者・窪田良さんに話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

 「ドイさんに、ご紹介したい人がいてるんですよ」――。とある飲み会で知り合ったKさんから、いきなりこんな言葉をいただいた。

 で、どんな人なのかを聞いたところ、昔は眼科医で一流の腕を持ち、その地位を投げうって、現在は米国でベンチャー企業を立ち上げたという。その会社で、まだ誰もつくり出せていない新薬を開発しているそうだ。

 医者が脱サラして、起業……。しかも成功すれば40億ドル(約3730億円)規模の市場が待ち構えているとか。記者の脳内は理系に弱い構造をしているが、ビジネスを切り口にすればなんとか記事にできるかもしれない。読者もきっと興味を持ってくれるだろう。

 そんなことを考えながら、新薬はどんな症状に効くのかを聞いてみた。風邪薬? 胃腸薬? などと思っていたら「『カレイオウハンヘンセイ』という難病の治療薬なんですよ。ではアポもとれましたし、取材、よろしくです♪」(Kさん)

 カレイオウハンヘンセイ? 正直に言って、初耳である。漢字にすると「加齢黄斑変性」となるそうだが、この漢字を見てもどんな病気なのかさっぱり想像できないのだ。

 いくらなんでもなにも知らないまま話を聞くわけにはいかないので、Kさんからいただいた資料に目を通して、“一夜漬け”で臨むことに。多くの読者もこの「加齢黄斑変性」という病気を知らないと思うので(たぶん)、ここで簡単に説明しておこう。


 今回、インタビューに応じていただいたのは、製薬ベンチャー企業「アキュセラ社」の創業者・窪田良さん(会長・社長兼CEO)。加齢黄斑変性とは目の病気で、「ドライ型」と「ウェット型」の2種類がある。「ウェット型」には眼球注射という治療方法があるが、「ドライ型」にはまだない。窪田さんが開発しているのは「ドライ型」なので、成功すれば世界初の治療薬となるわけだ。

yd_kubota02.jpg 加齢黄斑変性には「ドライ型」と「ウェット型」がある

 次に下の写真を見ていただきたい。加齢黄斑変性を患うと、視野の中心部から徐々に見えづらくなり、悪化すれば失明に至る。老化や喫煙などが危険因子とされていて、患者数は世界で約1億2000万人いると言われている。欧米では50歳以上の失明原因のトップを占め、日本でも患者数が増えているのだ。

yd_kubota03.jpg 加齢黄斑変性による中心視力障害

 窪田さんは慶應義塾大学医学部で博士号を取得し、眼科医に。1997年に緑内障の原因遺伝子である「ミオシリン」を発見し、国内外で高い評価を得た。2000年に渡米し、ワシントン大学で助教授を務め、2002年に起業。当初はシアトルの自宅で研究などを行っていたが、現在では社員80人余りの規模まで育て上げた。その窪田さんに、新薬をどのように開発しているのか、会社をどのように運営しているのか、などを聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -