土肥:窪田さんは2000年にワシントン大学に移籍して、目の研究をされました。そして独自の細胞培養技術を確立して、2002年には米国で起業されました。そもそも渡米されるときに「起業しよう!」と思われていたのでしょうか?
窪田:頭の片隅にもありませんでした。「3年間研究して、帰国しようかな」「もし米国で仕事ができるのなら、しばらく残ろうかな」といった程度のことしか考えていませんでした。
土肥:とはいえ起業されたわけですから、ある程度の手ごたえはありましたよね? 「オレは新薬を作って、ひとやま当ててやるぞ!」といった感じで。
窪田:そんな気持ちは全くありませんでした。「まだ誰も作り出せていない治療薬を開発したい。そして世の中を変えたい」といった思いだけでしたね。
ところでドイさん、新薬ができる確率ってどのくらいかご存じでしょうか?
土肥:窪田さんの経歴を見ると、眼科医そして研究者として実績を数多く残されてきました。それでも経営者としての道を選ばれたわけですから、やっぱり勝算はあったと思うんですよ。起業するって、リスクがありますからね。なので新薬ができる確率は……30%くらいですか?
窪田:3万分の1しかありません。
土肥:えっ、3万分の1?
窪田:失敗して当たり前の世界なんですよ。それでも「自分は成功できる!」と思い込める性格でないと、起業なんてできないかもしれません。
土肥:コップに残っている水を見て「まだ半分残っている」と思える人は楽観論者という言い方がありますが、それどころではないですね。2〜3滴の水滴をみて「まだ残っているぞ!」と思える性格でないと(笑)。
ちなみに、いまはどのくらいの確率なんですか?
窪田:歴史的には最終段階の第3相治験に入ると、2分の1の確率と言われていますが、個人的にはそれ以上の確率だと信じています。
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