この時期だから話そう、「優秀なのに内定が出ない」人のことをサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2013年04月01日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

 そう、明らかに「あなたのレベルでは、ウチでは採用しませんよ」という人たちが応募してくるのです。こう書くと「レベルの低い」人たちが応募してくるように勘違いしてしまいそうですが、逆。採用しませんよというのは言葉のあやで、採用しても来ないでしょう? という、その企業にとって「高嶺の花」がやってくるわけです。当然、彼らはその企業に内定が出ても入社する気はありません。もっと上位の企業を狙っていますから(便宜上、レベルの高い低いという話をしていますが、就活生の間での感覚値にすぎず、大手や有名、業界内上位である企業という程度に理解ください)。とりあえず、インターンシップに参加して「経験を重ねておきたい」と考えると。日程が合う限り、評判がいいインターンシップに参加しまくる、という事態が起きるのです。

企業は「練習台」にされていることを承知している

 そうなると、企業は入社しないと分かっているレベルの就活生たちのインターンシップの参加を拒否するのか、というとそうでもない。むしろ、積極的に受け入れています。採用選考活動に無駄なことはしない、だからインターンシップは選考に関係ないはずがない、というなら内定を出しても来ない就活生をインターンシップに参加させるのも無駄だとなりそうですが、そこはそうではないのです。まず、優秀な就活生を参加させておくと、インターンシップのプログラムそのものがグレードアップします。彼らの中は周囲に良い影響を与える学生も少なくありません。用意した内容を消化するにも、積極的に関与してくれます。後輩などに「いいインターンシップだから参加したら」と薦めてくれたりもします。そう、企業によっては都合の良いことも多い。

 もうひとつは「長い意味でのリレーション作り」です。インターンシップを通して、就活生と企業の採用担当者が仲良くなるというケースは枚挙に暇がありません。折に触れ、近況報告などをし合うという関係になる人たちもたくさんいるのです。その中で、他社の採用状況などの情報を入手するというケースや、その就活生が社会人になり働きだして「思っていたのと違う」と相談を受け、結果的に中途採用したというケースもあるのです。長い目で見たリレーションであり、結果が出るかどうかは分からない方法なのですが、優秀な就活生をインターンシップに参加させることで、さまざまな良いことがあるので、練習台になることを理解した上で、一定数の「どうせ入社しない就活生」を受け入れている、という裏話もあるのです。

 私自身、インターンシップの参加者名簿などを見ていて「優秀」と感じた就活生には「フォローする」という印がついていなくて、集団の中では「まあまあ」という就活生にフォローするという印がついているというのを、何度も経験しています。講師などで参加していたインターンシップで「どの学生が良いと思いましたか?」と採用担当者から質問を受け、優秀な学生を推しても「ウチには来ないと思いますから、フォローしないです」といわれて、なるほど! と思ったことは一度や二度ではありません。

 ……と、ここまでインターンシップの話をしてきましたが、実は「内定を出す」というステージにおいても、このセオリーは使われているのです。

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