3Dプリンタから考える、効果的なプロモーションの方法(1/2 ページ)

» 2013年03月01日 08時00分 公開
[荻野永策,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

荻野永策(おぎの・えいさく)

株式会社ALUHA社長。Javaプログラミングができるマーケティング、営業戦略コンサルタント。1979年兵庫県西脇市生まれ。金沢工業大学でJavaを用いたソフトウェア加工学を学び、2001年情報処理学会北陸支部優秀学生賞を受賞。大学院を経てALUHAを起業。


 2月15日発行の日経MJ16面に「子育ての思い出 立体保存」という記事が掲載されていた。簡単にまとめると次のような内容である。

  • 子育ての思い出を立体で保存できるサービスが今年に入って急速に増加している
  • 3Dプリンタの普及を背景に、子育ての思い出を残したい顧客を中心に新しい「市場」が形成されつつある
  • 東京都にある産婦人科「広尾レディース」では、通常の検診で利用する超音波検査装置(エコー)の画像データ(妊婦のおなかにいる胎児の画像データ)をもとに胎児の顔部分を3D化するサービスを提供
  • 「広尾レディース」によれば、「一生の記念にと何度も撮影に訪れる人もいるだけに、立体模型へのニーズは高いと思う」と話す
  • さらに、子どもが書いた絵からフィギュアを創り出すサービス「クレヨンクリーチャーズ」というサービスもある
  • スペインのデザイナーが立ち上げたサービスだが日本人からのオーダーもすでにあるという
  • 子育て中の親にとって子供の表情も作品も一生の思い出。より鮮明な立体模型は今後大きなニーズを創り出す可能性がある

 記事によると、3Dプリンタが子育て市場で成長を始めたようである。思い出を「立体模型にする」という利用シーンの提案が新しい市場を創り出していると言える。

 面白いのは、もともとあるデータを活用して付加価値にするという「胎児の顔を立体模型にするサービス」と、「子どもの書いた絵から立体模型を創り出すサービス」の2つがあるということ。

 もともとあるデータを活用する場合は、産婦人科のように通常の診察で使っているデータが別な形で利用できるので、妊婦から見たときの付加価値は高い。当然産婦人科から見ても、余計な手間がかからないので妊婦さんが喜ぶのであれば導入を決める産婦人科も増えてくると思われる。手軽さ感というのも大きな価値になっていよう。

 「子どもの描いた絵から立体模型を創り出すサービス」は、まさにデザイナー的な発想だと思う。子どもの描いた絵は何とも言えない「味」があるが、それをデザイナーのデザイン力を生かして立体化し、フィギュア化している。一般人にはできない芸当であるが、個人的に子育て中なので私の娘が書いた、本人いわく「ペンギン」の「ペロちゃん」を立体化してみたい(笑)。

 どちらの場合でも、うまく利用シーンを提案し、3Dプリンターの価値を高めている

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