「ライフネットが本当にあってよかったね」――お客からそう言われ、“気づいた”こと仕事をしたら“生保”ができた(前編)(1/7 ページ)

» 2013年02月06日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「御社を取材したいと思っているのですが、その前に打ち合わせをお願いしてもいいでしょうか?」――。

 ネット専業の保険会社「ライフネット生命保険」の広報Sさんとそんなやりとりをしていた。というのも記者は生保業界に精通していないので、「Sさんのお知恵を拝借して、なんとか記事にできないかな」と考えていたのだ。

 そして当日。ライフネットの本社におうかがいしたところ、Sさんからこんなことを言われた。「ドイさん、いきなりで申し訳ないのですが、社長の出口がお会いしたいと言ってまして……」と。

 え……、きょ、今日は打ち合わせでしたよね? と慌てていると、出口社長が登場したのだ。こんな機会はめったにないので、記者としてはラッキーなはず。しかし明らかに準備不足なのだ。インタビューを行う前には、会社の業績はどうか、社長はどんな経歴なのか、業界はどんな問題を抱えているのか――といったことを調べなければいけない。そんな基本の「き」もできていないまま、インタビューがスタートしたのである。

マーケットシェアは、まだ0.01%

 社長の話を紹介する前にライフネットとはどういった会社なのか。ここで簡単に説明しておこう。

 設立したのは2006年で、いまから7年前のこと。保険会社というのは歴史のある会社が多く、ライフネットのような独立系の生保が誕生したのは、実に74年ぶり。ネット生保としては、SBIアクサ生命(現在のネクスティア生命)に次いで2社目だ。社長の出口治明さんは、日本生命でロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。また当時の大蔵省に出入りして、さまざまな情報を官僚から聞き出す「MOF担(もふたん)」の経験を持つ。

 少し前置きが長くなってしまったが、さて何を聞けばいいのか。頭の片隅には保険の契約者数が右肩上がりで伸びている……といった記憶がある。まずはそのことから聞くことにした。

保有契約件数の推移(2012年9月末時点、出典:ライフネット生命)
       1|2|3|4|5|6|7 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.