「ライフネットが本当にあってよかったね」――お客からそう言われ、“気づいた”こと仕事をしたら“生保”ができた(前編)(3/7 ページ)

» 2013年02月06日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

「GNP商法」の壁

ライフネット生命の出口治明社長

土肥:ライフネットは「保険料を半額にしたい」という思いから設立されていますよね。若い人からは「お! 半額だったら、ライフネットの保険に入ろうか」または「今は他社の保険に入っているけど、安くなるんだったらそちらにしよう!」といった声が多かったのではないでしょうか?

出口:ドイさんもそう思われますか? 実は、設立時の私もそう思っていました。ところが、いざビジネスを始めたところ、他社から乗り換えてくれたのは、全体の3分の1ほど。

 「GNP商法」っていう言葉がありますよね。義理(G)・人情(N)・プレゼント(P)――この3つの要素で商品を販売することですが、生保業界ではこのGNPがものすごく強いことを痛感しました。

土肥:例えば、どんなことがあったのでしょうか?

出口:講演会でお話させていただいたあとに、出席していた人からTwitterで「ありがとうございました。申し込みさせていただきます」というコメントをもらいました。ところが翌日、その人から「出口さん、すいません。嫁の従兄弟が最近大手生保に入社したので、そちらに加入することになりました」という返事がありました。

土肥:義理・人情ですね。

出口:その気持ちも分かりますよね。従兄弟から頼まれたらお嫁さんとしては、断るのは難しい。保険料よりも従兄弟との人間関係のほうが大事――というのもよく理解できます。だから弊社の契約をみると、6〜7割が新規なんですよ。会社を設立したころは「保険料が半額だし、みんな乗り換えてくれるだろう」と思っていました。しかし実際は3割ほど。

土肥:むしろ乗り換えが7割くらいと思われていた?

出口:だって「同じモノが半分ほどの値段ですよ」と言われたら?

土肥:それは安いほうを買いますよね(すいません、ライフネットに加入していません)。

ライフネット生命で保険を見直したお客の月額保険料における平均削減額は5918円(出典:ライフネット生命)

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