就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
「ふふふ。サカタさん、サンタのコスプレお似合いですね」と、イベントの司会とはいえ45歳なのにサンタクロースの衣装に身を包んだ私を、冷やかしに来た編集長の吉岡綾乃さんは、うっすらと笑みを浮かべていました。しかもその時ちょうど、私の横にはミニスカ&ヘソ出しサンタが……。
いや、サンタコスは仕事でして、好きでやっているわけではないのです、まったく訳が分からないと思いますが、私も訳が分かりません。このヘソ出しサンタも別に頼んだわけじゃなくて、真面目なイベントなんです、ホントです……と私に言い訳させる余地も与えず、綾乃さん本人もサンタの帽子をかぶって鼻歌交じりに去っていきました。
綾乃さんも意外というのは変ですがサンタ帽が似合いますよ、と独り言をつぶやきつつ、自分の知られざる一面を見られたようで恥ずかしいなと思いながら、採用担当者たちの「知られざる本音」が、ふと頭をよぎってしまったのでした。
就活の世界には、都市伝説ともいうべき話がたくさん流布しています。就活都市伝説の中でも有名なのは「採用担当者、面接官は人を見るプロフェッショナル。合否は3秒で分かる」というもの。何万人も面接をしたという採用担当者がそう話している、なんて記事を見かけたことがある人も多いでしょう。ただし、この話は眉唾(まゆつば)です。3秒で判断できるということは、3秒で判断できる程度のことしか見ていない、という裏返しでもあるのですから。
3秒で判断できることは限られています。基本的には外見的なことですよね。容姿からはじまって、声や表情、持ち物や服装、姿勢や態度などでしょうか。あとは手元にある書類にある学校名などの基本的な情報。さて、これらの情報で「これから自社を担う人材を採用する」ことができますか? どう考えても無理です。これらの情報から「将来はこういうタイプに成長するだろう」とか「あの部署に必要な人材だな、ぜひ採ろう」などと思うわけがない。よく考えればすぐにウソだと分かるのに、平気で「神話」のようなものを作り出して、流布させる人物がいるのです。
ただし、3秒で「採用したい」という人は判断できませんが、逆に「採用したくない」人は意外とすぐに見抜けます。先に挙げた情報で「違和感」を持った応募者は、採用してもうまく「自社に馴染まない」ことを経験則として採用担当者は知っているのです。面接をする際の面接官の心構えとして、自分が「一緒に働きたいと思える人」を見つけてくださいと言われることが少なくないのですが、それは3秒で分かる情報から感じ取れることが多いのです(例外もありますが)。
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