ところで、「待ちにはどんな種類があるのか?」という視点で、待ちの対策のヒントを見てみましょう。
待ちは、大きくは「なくせる待ち」と「なくせない待ち」に分解できます。さらに「なくせない待ち」は、「短くできる待ち」と「これ以上短くできない待ち」に分けられます。
このように分解してみると、まずはもちろん「なくせる待ち」「短くできる待ち」をできるだけ短くする努力をしなければなりませんが、それでも「なくせない待ち」は必ず残ることに気が付きます。つまり、お客さまが待たされても満足してくれるかどうかは、ただ単に待ち時間を短くする工夫だけではダメで、「なくせない待ち」に対してどのような工夫ができるかにかかっているということです。
案外、こういった考え方で待ちへの対策をされているケースは少なく、ひたすらに「待ち時間を短くしよう!」「迅速なサービスを提供しよう!」と必死に努力をされて苦労している方が多いのではと思います。
続いて、待ちが失点となって満足が得られない原因、例えば「待ちでイライラさせてしまう原因」は何なのか? について、分類してみると次のようになります。
待ち時間が分からなかったり、待つ原因が分からなかったりすると、お客さまはイライラします。これへの対策は、待ち時間を看板などで表示するという例がTDLでは見られました。それ以外にも、突発的な待ちの発生の際にはこういった情報を迅速に提供することが効果的です。
これは例えば、行列に並び続けないといけない場合や、割り込みや追い抜きが許される並び方の場合です。こちらに対してTDLでは、優先チケットの配布や、整列しやすく進んでいる実感をしやすい並ばせ方をしていました。また、予約制を取り入れるというのも、よくある工夫のひとつです。
時と場合によって変わるタイプの原因で、例えば急いでいるときや、暑い/寒いとき、不安なときなど。お客さまの状況を把握して、臨機応変な対応が求められます。この種の原因はサービスの種類によっても特色が出やすいのですが、TDLではWebでの待ち時間公開や、優先チケット配布などで、お客様自身が待ち方を決められるように自由度を高める工夫がされていました。
これらの「待ちで失点する原因」の種類を意識することで、自社サービスに合った効果的な待ち対策の議論ができるようになるのではないでしょうか。
さらにここで重要なポイントは、待ちに対する努力の仕方は2つの方向があるということです。
1つはこれまで見てきた「イライラさせない」という失点しないための努力。もう1つ、価値があるのは「待ち時間を楽しむ」というような待ちで得点を得る方向性の努力です。ディズニーランドの例では最後に挙げた「待っている間も楽しめる」工夫です。なかなかここまでの工夫をされているケースは少ないのですが、これができれば顧客満足向上には極めて効果的なアクションになるのではないでしょうか。
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