コラム
» 2012年11月16日 08時00分 UPDATE

なぜ待ち時間ばかりでも、ディズニーランドに満足するのか? (1/3)

感動サービス、リピートサービスの代名詞ともいえるディズニーランド。冷静に考えれば大半の時間を待たされているにもかかわらず、帰る時には誰もが「よかったね!また来ようね!」と大満足している。なぜこんなに待たされても、お客様は大満足してくれるのか?

[松井拓己,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:松井拓己(まつい・たくみ)

ワクコンサルティング株式会社執行役員・チーフコンサルタント。名古屋工業大学産業戦略工学専攻修了後、大手化学工業品メーカーで商品企画開発に従事。その後、事業開発プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、問題分析手法を活用した業務改革テーマの創出や、サービスサイエンスを取り入れた新規事業戦略立案に貢献。現在はサービスサイエンスおよび新規事業開発を中心に支援を行っている。


 年間2500万人以上が利用し、その9割以上がリピーターというディズニーランド。いまや大成功事業、感動サービスの代名詞となっています。しかし、冷静に考えれば、大半をアトラクションの「待ち時間」に費やしているにも関わらず、誰もが大満足して、帰る時には「また来よう」と思っています。

 なぜ、これほど待たされても、お客さまは大満足してリピートしてくれるのか? ディズニーランドの待ちに対する工夫を、サービスサイエンスの視点でとらえることで、待たせてしまっても顧客満足を得るためのヒントを見出してみたいと思います

ディズニーランドの「待ち」に対する努力のしかた

 まずは、ディズニーランドが「待ち」に対してどんな工夫をしているのか、いくつかの例をみてみましょう。

看板で待ち時間を表示する

 どのくらい待てばアトラクションに乗れるのか? それを表示することで、「まだか、まだか」とイライラしながら待たなくてもいいように、上手にお客さまの事前期待をマネジメントしています。

 このように、待ち時間に関する情報を事前に伝える工夫は、日常生活の中でも見つけることができます。例えばこだわりのあるそば屋さんには、壁に「注文されてから湯がきます」と貼紙をして、お客さまにイライラせずに待っていただく工夫をしています。また、歩行者信号のカウントダウンタイマーも同じ役割を果たしていますね。

ファストパスがあれば少し待つだけでいい

 事前に受け取ったファストパスチケットに書かれた時間帯にアトラクションに行けば、優先的に乗せてもらえる仕組みがあります。これは、ずっと並んでいないといけないという制約を外してあげることで、待ち時間自体を短くして、多くの時間を楽しんでもらおうという工夫です。これは、人気外食チェーンなどで配布される整理券の発展形といえます。

Webで待ち時間がリアルタイムに分かる

 Webで園内のすべてのアトラクションの待ち時間がリアルタイムに分かるようになっています。そうすることで、お客さまの選択肢が広がり、納得して並ぶことができるようになりました。

 このように、待ちについてのリアルタイム情報を提供する事で納得感を高めているサービスはほかにもあります。例えば先進的な保守メンテナンス会社では、お客さまに待っていただく際に「保守作業員が今、どこで何をしているか」をWebで公開して、安心・納得して待っていただく工夫をすることで、クレーム発生を劇的に低減しています。

ちょっとずつ進む行列

 アトラクション待ちの通路は約1メートル幅で仕切られている場所が多いそうです。その理由は、2人でおしゃべりしながらも、整列して「ちょっとずつ進むこと」を実感できるようにするためだと言われています。確かに「進んでいる実感」があることで、ただ単にその場で待たされるよりもはるかにイライラが軽減されますよね。高速道路の渋滞でも、同じような経験のある方は多いのではないでしょうか。

待っている間も楽しめる

 待っている間も園内を見渡せば、キャラクターがいたり、楽しい装飾・知る人ぞ知る装飾が施されていて、眺めているだけでも十分に楽しめるようになっています。そうすることで「何か面白いものが見つけられるかも」と、宝探しをするように「待ち時間を楽しむ」ことができます。

 同じような例では、人気洋菓子店であえて製菓プロセスをガラス張りで見えるようにすることで、行列に並びながら次々とお菓子が作られる様子を楽しめるように工夫していたりします。



 このようにディズニーランドでは、お客さまが大半の時間を使う「待ち」に対してさまざまな工夫をしています。また同様の工夫は、実は日常生活の中でも見つけることができそうです。しかし、これまでに見てきたような待ちへの工夫をそのままマネしてみても、なかなか成果につながらないと苦労されている方も多いのではないでしょうか?

 そこで、待ちについてもう少し論理的にとらえることで、自社サービス向上に生かせるヒントを探ってみたいと思います。

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