コラム
» 2012年11月13日 08時01分 UPDATE

窪田順生の時事日想:何が必要なのか? ストーカー殺人を繰り返さないために (1/3)

神奈川県逗子市の女性が、元交際相手につきまとわれて、刺殺されてしまった。ストーカー規正法が施行されてからもう何年も経つが、なぜ同じような悲劇が繰り返されるのだろうか。

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 またこのような悲劇が起こってしまった。

 神奈川県逗子市のデザイナー、三好梨絵さん(33)が、元交際相手の無職、小堤英統容疑者(40)に6年にもわたってつきまとわれて、刺殺されてしまった。

 2011年6月、小堤容疑者は「殺してやる」などのメールを送ったとして脅迫罪で逮捕されている。警察が、その時に結婚して変わった「三好」という姓や、住所の一部を伝えてしまった。執行猶予でサクッとやりすごした容疑者はそれをヒントにネットや探偵を駆使して、彼女の自宅を割り出して、自らの40歳の誕生日に凶行に及んだ、らしい。

 記者になって一番初めに取材をした大事件が、桶川女子大生ストーカー殺人だった。この事件がきっかけでストーカー規制法ができた。だから、弁護士や専門家はテレビなんかで「何かあったらすぐに警察に相談を」と呼びかけるようになったわけで、三好さんもそうした。

 しかし、現実にそういう被害にあわれた方たちを取材してきた者からすると、一概にそうとも言えず、警察への相談が裏目に出ることも多い。

 例えば、愛知県安城市で自宅マンションの前で、元カレのパチンコ店員(31)に襲撃されて脳挫傷で亡くなった女性(32)がいるが、このストーカーをここまで激しくさせたのは、女性から相談を受けた警察がたびたび「警告」をしたことで、「ストーカー扱いされて憎くなった」と逆ギレしたからである。つまり、警察の介入を「宣戦布告」と受け取り、憎しみがヒートアップするのだ。

 そんな理不尽な話があるか、と怒りを覚えるだろうが、理不尽な事件を犯す者たちは、常人にははかりしれぬ理不尽な発想をするものなのだ。だから、このような悲劇を繰り返さぬために本当に必要なのは、犯罪者の「仕分け」だと思っている。

 現在の刑法では、チカンだろうが、ひったくりだろうが、ヤクザの大親分だろうが、みな等しく同じ刑事訴訟法に基づいて逮捕されるが、ここにストーカーや性犯罪者など被害者に特殊な感情を抱いている者を含めず、個別対応できるように法制整を行うべきだ。

 彼らにはそもそも自分が悪いことをしているという意識がない。それどころか、小堤容疑者が三好さんに慰謝料を請求していたことからも分かるように、むしろ被害者だと思っている。

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