2011年のアニメ業界市場は前年比3%増の1581億円だった。次図にあるように過去最高のテレビ放映分数を記録した2006年以降、急激に下がり続けていた市場だが、こちらは制作分数に先立って2009年に底を打ち、2010年、2011年と続いて売り上げが伸びているので、回復基調に入ったと思われる。2012年に入ってからのテレビアニメの放映本数も前年とほぼ同じかそれ以上のレベルで推移していることを考慮に入れると、そう判断しても間違いないだろう。
アニメ業界の売上1581億円を見て、「意外と小さい」と思った方もいるだろう。エンタテインメント業界で言えば、マンガを手がける出版社で首位の角川ホールディングスの1473億9200万円(2012年3月期)や音楽首位のソニーミュージックグループの1743億600万円(2012年3月期)と同程度の売り上げで、ゲーム大手の任天堂の6746億円(2012年3月期)には遠く及ばない。
実際、アニメ業界でトップの東映アニメーションの2012年度決算売上は330億円。前年比24%増と過去最高の売り上げを記録したものの、ほかのエンタテインメント企業と比べて規模としては小さい。
一方、米国アニメーションのトップ企業ディズニーの売り上げは4089億ドル(約3兆2712億円)である。東映アニメーションの親会社東映でも売上1169億円なので大きく差が付いているようにみえるが、実はアニメスタジオ単体では東映アニメーションはピクサーやドリームワークス・アニメーションとそれほど大きく離れていないのである。
ディズニーに買収される直前のピクサーの売上は2億8917ドル(2005年)。当時の為替レートで約318億円。ドリームワークス・アニメーションの2011年売上は7億600万ドルで約565億円。つまり、アニメだけの製作であればそれほど大きくはならない。ところが、流通「アニメ産業売上」となると事情は異なってくる。
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