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» 2012年08月15日 08時00分 UPDATE

MBA僧侶が説く仏教と経営:なぜお坊さんがインドでMBAを取得したのか? (1/3)

東大卒業後、僧籍に入り、インドではMBAを取得。超宗派・若い力で仏教界に新風を送り続けている僧侶・松本紹圭氏による新連載。仏教×マネジメントの交差する場で活動する著者が、経営用語を仏教用語に置き換えながら、“借り物でない日本的経営”を思索する。

[松本紹圭,GLOBIS.JP]
GLOBIS.JP

 みなさん、始めまして。浄土真宗本願寺派光明寺の僧侶、松本紹圭と申します。私は2011年4月まで1年間、インドへ留学していました。お坊さんがインドへ留学というと、たいてい「やっぱり本場のインドで修行されたんですね」と言われるのですが、実際の留学先はビジネススクール。MBAを取りに行ってきたのです。生まれて初めての海外生活、それもインドへ家族同伴、しかもビジネス経験なしのお坊さんバックグラウンド。みっちり1年間、厳しい修行をさせていただきました。

ah_matu1.jpg 松本紹圭氏

 MBAを持ったお坊さんなんて、あまり聞いたことがないかもしれません。意外かもしれませんが、私の知る限りでもそういう方が何人かいらっしゃいます。グロービスの安永雄彦先生もそのお一人で、毎回ご講義の最後にされるありがたい“講話”がとても人気だとか。考えてみれば、仏門というのはすべての人にいつでも開かれているわけですから、どんな職業の人、どんなスキルを持つ人がお坊さんになっても不思議ではないのです。

 しかし、「お坊さんとして、お寺のために」MBAを取ったのは恐らく私が初めてだと思います。なぜお坊さんがMBAを? それは、お寺の運営をもっと良いものにしていくためには、マネジメントの勉強が必要と考えたから。一般にMBAといえば営利企業のビジネスのためのものと思われがちですが、最近ではNPOなど非営利組織の経営力向上にもおおいに活用されており、もちろんお寺にも役立つに違いありません。実際、現代経営学の一人者、ピーター・ドラッカー先生は著書の中で、日本における非営利組織の原点として「お寺」を挙げているくらいです。

 しかし、なぜインドで? それは、私が(そして妻も)インド好きだから。誰が言い出したか「インドに行くと人生観が変わる」という話は耳にタコができるほど聞きますが、同じくらい「MBAの経験は人生観を変える」とも言われるわけです。ならば、MBA×インドのコンビネーションが、私の人生を大転換させてくれるに違いない。そう考えた私は、たまたま目にしたフィナンシャル・タイムズ紙の世界MBAランキングでISB(インド商科大学院)の名前を見つけました。そして、インドのトップビジネススクールが私を呼んでいると思い込み、受験することに決めたのです。

 周りに受験仲間もいない厳しい環境でしたが、ロータリー財団の国際親善奨学生として支援もいただきながら、TOEFLやGMATなどの関門を何とかクリア。何よりも、「日本のお坊さんがお寺のマネジメントのためにインドのビジネススクールでMBAを目指す」という、もはやどう評価して良いのか分からない私のUSP(Unique Sales Point)が、多様性を重視するアドミッションオフィスの心をつかんだのでしょう。面接では「仏教の八正道についてのあなたの意見は」などと聞かれ、そのまま合格しました。

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