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» 2012年06月07日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:人はなぜ“だれかの体験”に金を出すのか?――クラウドファンディングが育てるもの (2/3)

[郷好文,Business Media 誠]

“欲しいから買う”から“おもしろいから払う”へ

 「公序良俗に反する内容はNG。一番重視するのは、支援が集まるか、プロジェクトを見たパトロンがお金を払いたいと思えるようになっているか。そこに最低限のフィードバックをします。もちろんプロジェクトオーナーのクリエイティブを害することはしません」(石田さん)

 掲載に当たっては審査があり、「対価」もチェックされる。プロジェクトがモノづくりであれば完成時にモノやその一部を出資者へ渡す。映画であればエンドロールへの名前の掲載や、ディレクターズカット集、音楽なら1曲オマケなど。純粋な「寄付」ではなく対価を手に入れる「購入」に近いのが特徴だ。

“うふふ”マーケティング“うふふ”マーケティング サクセスしたプロジェクトの対価例

 ではパトロンは対価だけを期待しているか? そうではない。

 共感消費の原点は、石田さんが3年ほど前に起業した「農力村(のうりょくむら)」。消費者が田んぼのオーナーになって無農薬や有機米の収穫に出資する。米がご飯になるまでの育苗、稲穂、田植え、水を入れて抜いて……という1年間のストーリーを農家と共有するもの。

 「お米を作ることにもクリエイティブなプロセスがあります。ぼくらは何か新しいものをつくる分野、特に音楽、映画、アートに力を入れたいですね」

 キャンプファイヤーのカテゴリーは音楽、プロダクト、テクノロジー、コミュニティ、フード、ファッションなど12分野。とりわけアート分野では、商店街活性化(思い絵プロジェクトin石巻)、食プロジェクト(100人の食卓)などプロセスを楽しめる企画がサクセスしている。「払っておしまい」ではなく「実行」と「その後」も共有できる。

 だが自分のものではない体験共有にお金を払うのは、なぜか?

 「日本人の99.9%が絶対的に信じる数字って何だと思いますか? それはお金。お金は信頼関係を具現化するもので、単純に払うのでなく信じるよとか、うれしいという気持ちを消費できるんです。クラウドファンディングでの消費志向でぼくが感じるのは、“欲しいから買う”から“おもしろいから払う”への変化です。ある意味それは、評価経済社会へのシフトなのかもしれません。特にWebは、無料経済やフリーミアムのモデルの中にあってそれが顕著です」

用語解説:

  • 評価経済:評価が通貨のように流れる社会
  • 無料経済:直接の利用者は無料、広告などで間接的に売上を得るもの
  • フリーミアム:基本は無料、追加機能などで料金を課金する仕組み

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