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» 2012年06月07日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:人はなぜ“だれかの体験”に金を出すのか?――クラウドファンディングが育てるもの (1/3)

スロバキアの学生が描く原発ドキュメント映画、被災地・石巻での神輿復元プロジェクト。日本発のクラウドファンディング「キャンプファイヤー」が灯すのは、人と人を結ぶかがり火だ。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 クラウドファンディング(Crowd Funding)とは、あるプロジェクトに対して賛同する不特定多数の人々がインターネットを通じて出資する仕組み。しかし、ただネット上で資金を集めるだけではない。「人と人が群れる(Crowd)」という意味こそ大切である。

 「海外では『Kickstarter(キックスターター、参照リンク)』などが、クラウドファンディングと呼ばれているので、その言葉を取り入れています。ここでいうクラウドは“雲”ではなく“群れとなってみんなが一緒に生きる”という意味です」

 個人から少額資金を集めて、夢を実現するクラウドファンディングの日本のさきがけ、CAMPFIRE(キャンプファイヤー、参照リンク)の創業者でハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平さんはいう。

“うふふ”マーケティング CAMPFIREのWebサイト

日本、チェコ、スロバキアの学生が“本当の原発”を描く

 キャンプファイヤーには「Micro Patron Platform」というサブタイトルがある。マイクロは少額(500円〜)、パトロンは支援者、プラットフォームとは支援をつのり、経過報告も伝えるプロジェクトのプレゼンの場。プロジェクトにはどんな思いが込められているか。事例を挙げよう。

 日本、チェコ、スロバキア3カ国の学生による「原発」をテーマにしたドキュメンタリー映画『ATOMKA』(あとむか、参照リンク)。アトムカとはスロバキア語で原発である。

“うふふ”マーケティング ドキュメンタリー映画『ATOMKA』

 スロバキアのブラチスラヴァ音楽大学映画テレビ学部ドキュメンタリー学科のメンバーが、「フクシマ前とフクシマ後」の疑問や願いを各国の生活者目線で描くため、彼らはスロバキアの原発や原発労働者、そして福島を訪ねるロケを自力で敢行した。

 だが、スロバキアでの撮影や映画祭出品へ向けて編集作業も残っている。その費用の一部、39万円の出資を目指してキャンプファイヤーにプロジェクト投稿をした。41人のパトロンが集まり、目標額を達成(サクセスと呼ぶ)した。

 原発が欧州と日本をつないだ。パトロンは映画製作者と一緒に“本当の原発”を知りたいと思って出資したのだろう。プロジェクト投稿の実際を聞いた。

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