コラム
» 2012年05月31日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想・南相馬編(2):南相馬市にあるコンビニ……そこは時間が止まったままだった (1/6)

津波によって破壊され、原発事故によって避難を余儀なくされた福島県南相馬市は、いまどのような状況になっているのか。現場に足を踏み入れた筆者が目にしたものは、昨年の震災以降、完全に時間から切り離された街の姿だった。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


相場英雄の時事日想・南相馬編

 →旧警戒区域の内側は今、どうなっているのか(1)

 →第2回、本記事


 5月12日、私は福島県南相馬市の「20キロ」の旧警戒区域の中に入った。津波によって破壊された地域を後にし、かつて同市小高区の住民たちが生活していた場所を訪ねてみた。そこには、昨年の震災以降、完全に時間から切り離された街があった。

時間が止まったコンビニ

 海岸線に近い一帯から、再びステアリングを国道6号線に切った。

 晴天で、日射しの強い日だった。徹底的に破壊されたかつての住宅街では、昨年三陸の沿岸で見た景色に接し、絶句した。

 興奮してしまったのか、あるいは心理的なショックが大きかったのか。喉がカラカラに乾いていた。福島市で買ったお茶はとうに飲み干してしまった。

 自家用車のトリップメーターを見る。20キロの旧警戒区域から約10キロの地点で、道路脇にセブン-イレブンが見えた。

 駐車場には神奈川県警のランドクルーザーが停車している。ちょうど車中のBGMを替えようと思っていたタイミングとも重なった。

 駐車場に車を入れ、店の入口に近づいた。だが、入口はゴミ箱でふさがれている。店先の雑誌棚に目をやる。並んでいる雑誌がすべて色あせていた。

yd_aiba1.jpgyd_aiba2.jpg セブン-イレブンの入口(左)、色あせた棚(右)

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