話は少し違うのだが、子どもたちが夢中になって遊ぶ『ポケットモンスター』というゲームがある。キャラクターの数は全部で600種を超えるそうで、子どもたちは必死にそのキャラクターの名前を覚えたりするのだが、この行動の裏にもストレスが大きく影響しているという。「遊びがストレス?」と思われる方も多いかもしれないが、子どもたちにとっては、数多く存在するピカチュウのキャラクターを“自分は全部知らない”ということに強いストレスを感じ、そのストレスから解放されるために必死でキャラクターを覚えるというのである。
話を人材開発に戻してみると、人を育成する方法として、さまざまなアプローチがあり、プログラムも存在する。しかし、その多くが「受講者の持つ課題とは何か?」「あるべき姿と現実とのギャップとは何か?」「課題やギャップを埋めるために何を教えれば良いか?」という外側から必要要素を分析し、不足部分を教育で補うというものが多いように思われる。決して間違ったアプローチではなく、そこから多くのことを学ぶこともできると思うだが、実際にその組織をリードしている人々がどのようなプロセスを経て現在の姿に成長してきたのかの視点を忘れてはいけない気がする。
もし、“ストレス”が結果として人を成長に導く根源にあるとすれば、人材開発プログラムの中にその要素を積極的に取り入れるべきであるし(例えば、受講者に高いストレス状態を疑似体験させ、学びを促進させるなど)、受講生の学習課程においても、会社側が受講生の課題を分析して教える人材開発ではなく、受講生が自ら考え、課題を乗り越える仕組みの人材開発が必要になってくるのではないかと思われる。(田中雄)
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