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» 2012年05月26日 00時00分 UPDATE

どうなる? 鉄道の未来(5):「空港行き」の電車代、見直さなければいけない (1/3)

LCCの就航によって「ちょっと旅に出てみようか」という人も多いのでは。しかし空港へ行くまでの電車代は、旧態依然のまま。高い。鉄道会社はそろそろ「空港行き」の運賃を見直すべきではないだろうか。

[土肥義則,Business Media 誠]

どうなる? 鉄道の未来

 鉄道の未来は? と聞かれれば、答えは「厳しい」と言わざるを得ない。人口減で需要が減少するなか、台頭する格安航空会社(LCC)と整備されていく高速道路網と戦っていかなければいけないからだ。

 もちろん鉄道が急速に衰退するとは思えない。むしろ首都圏では次々に新線が開業し、既存路線が整備されていっている。「過当競争に陥っているのではないか」という懸念が広がるなか、地方鉄道は赤字に苦しみ、廃止・縮小を余儀なくされている。

 こうした現状に対し、鉄道会社は次の一手をどのように打てばいいのだろうか。そこで鉄道事情に詳しい共同通信の大塚圭一郎記者とBusiness Media 誠で連載をしている杉山淳一氏に、徹底的に語り合ってもらった。対談は全7回でお送りする。


関空までの鉄道運賃

――LCC(格安航空会社)の台頭で、空港と鉄道のあり方が変わってくるのではないでしょうか?

大塚:大阪市の橋下市長は知事時代に、市内と関空を結ぶのにリニアモーターカーを建設してみてはどうだろうか、と提案されていました。しかし航空産業の変化を見据えると、リニアを建設するよりもLCCにどう対応するかが大切なのではないでしょうか。

 今後、関空はどのようにして生き残ればいいのか。その答えは、いまのところLCCしかない。LCC専用のターミナルを作ろうとしていて、今後は格安チケットで移動する人が増えていくでしょう。そうした人が、運賃を高額に設定せざるを得ないリニアで移動するとは思えません。

 到着地でもコストを抑えた移動手段のニーズが高まるのは必至で、JR西日本が訪日外国人旅行者向けに大阪〜関空間に割安な往復乗車券や周遊券を用意するなどの対策が一段と求められます。LCCに乗る乗客に対応すれば関空特急「はるか」の車両をグレードアップして……といった話にはならないでしょう。

杉山:JR西日本の関空特急「はるか」は不振ですよねえ。きっぷの値段が違いすぎ。「はるか」で天王寺から関空へ行くと2270円。「関空快速」なら特急料金なしの1030円。南海電鉄の「ラピート」で難波から関空へ行くと1390円で、特急料金なしの「空港急行」なら890円です。「はるか」は新大阪や京都まで乗り換えなしで行けるのは便利なのですが、この値段であれば「はるかではなくても」て思ってしまう。難波からの高速バスは1000円です。

大塚:欧州では、LCCの乗り継ぎ客を意識した鉄道がありますが、それは普通の通勤列車のようなもの。

杉山:LCCを利用する人たちというのは、お金をかけずに移動しようと考えている。なのに空港まで行くのに、わざわざ高いきっぷで移動しようと思うはずがない。

yd_taidan1.jpgyd_taidan2.jpg 南海電鉄の「ラピート」(左)とJR西日本の関空特急「はるか」(右、撮影:杉山淳一)

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