ゆとり教育で育った世代は、本当に仕事ができないのかこれからのことがよく分かるコラム(2/4 ページ)

» 2012年04月11日 08時01分 公開
[桑原正義,Business Media 誠]

新人・若手がダメな理由は“教育ができない現状”にあり

 では、この問題はいったい誰の責任なのでしょうか?

 答えは「誰の責任でもない」。クライアント企業とともに要因を分析して分かったことは、これは誰の責任でもなく、社会の構造変化がもたらした、いわば“育成の構造不況”とでも呼ぶべき問題でした。つまりバブル崩壊以降20年以上の時間をかけて、企業における育成を取り巻くあらゆる環境が「人が育ちにくい」方向へ変化してきたのです。

 まずは、仕事内容の変化です。国内経済の成熟化やIT化、グローバル化の進展によって企業間の競争が激化。こうした環境の中で、仕事の高難度化が進み、新人・若手にとって「成長に適度なサイズの仕事」が激減しています。その状態で育ち成果を出すには、周囲の支援がこれまで以上に不可欠。しかし周囲の上司や先輩も同じく過酷な環境下で仕事をしているため、新人に関わる余裕がありません。したくてもできないのが現実です。このように今の新人は、いきなりかつてなく困難な環境下に放り込まれ仕事をするように変化しています。

「現実対峙力」が低下傾向に

 その環境下で求められる力は何でしょうか? 何を育成しなければいけないのでしょうか?

 この厳しい環境下において成長している若手とそうでない若手を比較分析したところ、興味深い事実が見えてきました。成長を分けていたのは学力や知識・技量ではなく、厳しい環境下でも逃げずに向き合い、何とかしようとする行動力でした。私たちはこれを「現実対峙力」と呼び、今の新人・若手育成において最も重要な育成目標に置いています。

 「イマドキの新人はなっていない」という声は決して学力ではなく、この現実対峙できない新人の「心の姿勢」に対して向けられていることを理解する必要があるでしょう。

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