コラム
» 2012年04月10日 08時00分 UPDATE

窪田順生の時事日想:借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由 (1/3)

国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか?

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生の時事日想

 物事には必ずコインのように表と裏がある。それはビジネスも然り。詐欺や裏取引、あるいは法の網を巧妙にかいくぐったグレー商法……。もちろん、それらは断罪されてしかるべきだが、そんな「裏」から若きビジネスパーソンが学ぶことは多い。人々が何を欲し、社会には何が足りないのか。つまり、日本経済の「裏」を知ることができるからだ。

 火曜日の時事日想は、テレビ、全国紙、週刊誌といういわゆるニュースの現場を経験してきただけではなく、実話誌などで裏ビジネスなどの取材を続けてきた筆者が、巷にあふれる事象を「裏」から読み解いていく。


 野田首相が消費税を上げようと四苦八苦している。「日本は借金大国で、赤ん坊はおぎゃあと生まれた瞬間に800万の借金を背負わせられる。だから、私が憎まれ役になって消費税を上げますよ」というのが財務官僚からレクチャーを受けた首相のロジックだが、これには1つ大事な視点が抜けている。

 それは「踏み倒す人」の増加だ。

 2010年度の国民年金保険料未納率は40.7%と過去最高となった。国税・地方税・国民健康保険料の滞納は総額で5兆5000億円越え。何と1年間の消費税2%分もの滞納があるのだ。

 さらに、税金を納めなくてもいい生活保護受給者も過去最高の209万人を突破している。増税をすれば、公共料金を「もう払えません」とギブアップする人が急増するのは目に見えている。つまり、不退転の決意で増税したところで、踏み倒しが横行すれば何も変わらないというわけだ。

ah_kubota.jpg 出典:社会実情データ図録

 その前兆はすでに表れている。最近、生活が苦しい人ではなく、定期収入もあって余裕もあるのに「貧者」を装って、給食費、子どもの保育料や授業料、病院の治療費などを踏み倒すケースが急増しているのだ。

 「消費税が上がるし、年金も破たんするって話だし、そんなもんバカバカしくて払ってらんねーよ」という理屈である。

 そんな人々に取材した結果を、4月9日発売の『週刊ポスト』に提供させてもらっている。興味のある方は詳しく読んでいただきたいのだが、そこで思ったのは、なぜここまで「踏み倒す人」が増えてきたのかということだ。

 モラルがどうとか、景気が悪いとかいう以前に、ここまで正々堂々と踏み倒す人が増えたきっかけは何なのか。

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