コラム
» 2012年04月03日 08時00分 UPDATE

上司から部下だけじゃない!? 誰のためにパワハラを防止するのか (1/3)

1月末、厚生労働省が初めてパワハラの定義を公表しました。上司から部下へのいじめ・嫌がらせと言われていたパワハラだが、部下から上司もあり、同僚から同僚へもあるとのこと。さて、パワハラ防止とは弱者保護のためのものなのでしょうか?

[唐澤理恵,INSIGHT NOW!]
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唐澤理恵(からさわ・りえ)さんのプロフィール

お茶の水女子大学卒業後、大手化粧品会社に営業として入社。1994年32歳で最年少同社初の女性取締役に就任し、6年間マーケティング部門を担当する。2000年同社取締役を退任し、サブリネット株式会社を設立、代表取締役に就任。政治家・経営者のヘアスタイル、服装、話し方、立ち居振る舞いを指南するパーソナルデザイン事業を中心に活動。2007年4月社名を株式会社パーソナルデザインに変更。「イメージプロデューサー唐澤理恵Blog


 「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職場上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」

 2012年1月30日に公表された厚生労働省によるパワーハラスメント(以下、パワハラ)の定義(外部リンク)です。

 企業を取り巻く人権問題やメンタルヘルス問題、企業の不祥事や情報漏洩など、かつてはあまり世に出ることのなかった問題が今注目されています。なかでも精神障害による労災請求件数や実際の認定も増加傾向にあります。1998年には42件の請求が、2010年には1181件ですから、12年間で約30倍となったわけです。個別労働紛争相談件数をみても、いじめ・嫌がらせに関する相談は3万9405件という数で、こちらも10年でほぼ3倍にふくらんでいます。

 ……といっても、これらの相談がすべていじめ・嫌がらせというわけではなく、単なる受け手の誤解という事例もあります。

 しかし、さまざまなハラスメントが潜む職場こそ、マイナス情報を上司に報告しにくい空気感を作り、隠ぺい体質が醸成されていくとも言われています。オリンパスの例をとっても、今回の事件と昨年の内部告発による訴訟事件との関連性は否めないと言えるでしょう。

 そんな折に、冒頭のパワハラの定義が公表されたわけです。パワハラは造語ですから海外ではそのまま通じるわけではありませんが、日本で問題視され始めた事象だけに一体どういったものなのかを初めて世に明確にしたという点で意味があると言えます。

 職場上の地位とは、上司が持つパワーです。人間関係などの職場内の優位性とは、上司とは限らず誰でも持つ可能性があります。学校の生徒同士のいじめなどもその優位性を使ったものでしょう。

 「業務の適正な範囲を超えて」というのは、一番悩ましい判断基準ですが、例えば建設現場と研究所では大きな違いがあります。建設現場でボケッとしている部下に上司が「ばかやろう!」と大きな声で叫んでも業務の範囲かもしれませんが、シーンと静かな研究所で同じように叫んでは業務の範囲外になってしまう可能性があります。

 そういった言動によって、精神的に病んでしまったり、身体的に働けない状態に陥ってしまえば、会社にとって大きなダメージです。また、パワハラを受けてなくても、それを見ていて気持ちの良くない周囲の社員の効率が落ちることも会社にとってはマイナスです。

 では、上司から部下へのパワハラはいったいどれくらいの割合かというと、厚生労働省の外郭団体の調査によるとパワハラ問題全体の6割程度だそうです。つまり、残りは部下から上司、同僚から同僚ということです。

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