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» 2012年03月21日 08時00分 UPDATE

インサイド・アップル(4):アップルの秘密主義は、社員にとって幸せなのか (1/5)

あなたはアップルで働くことが楽しいですか? この質問に対し、多くの社員は「ノー」と答えるという。そんな社員が多いのに、なぜアップルはライフスタイルを変える商品を相次いで生み出してきたのだろうか。

[アダム・ラシンスキー,Business Media 誠]

インサイド・アップル

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 この連載は3月23日に発売される『インサイド・アップル』(早川書房)から抜粋、編集したものです。

アダム・ラシンスキー(Adam Lashinsky)氏のプロフィール

「フォーチュン」誌シニアエディター。専門はテクノロジー・金融。イリノイ大学で歴史学および政治学の学位を取得。シリコンバレーとウォール街をフィールドとするトップジャーナリストの一人として知られ、「フォーチュン」誌ではアップルの他、グーグルやHP等に関する特集記事を多数執筆。とりわけ本書の元となった、アップルの組織図や内部システムを明らかにした2011年5月のスクープ記事“INSIDE APPLE”は大きな反響を呼んだ。


 大企業にふつうある組織図も、アップルには存在しない。組織図は従業員には必要ないし、外部者には与えるべきでない情報なのだ(2011年5月、フォーチュン誌が独自にアップルの組織図を掲載したとき、アップルの従業員はその号が机の上にあるだけでも神経質になっていた、と訪問者から聞いた)。一方、従業員にはひとつ重要な情報源がある──社内用の「アップル・ディレクトリー」だ。この電子ガイドには各人の名前、部署、上司、ロケーション、メールアドレス、電話番号、ときには写真がのっている。

 もちろん組織図がなくても従業員には実力者がわかる。「経営チーム」、すなわちCEOに助言する少数の幹部の諮問機関が会社を経営している。そしてそれを補佐する100名足らずの副社長の層がある。しかし、アップルでは職位がかならずしも社内のステータスと一致しない。誰もが暗黙のカースト制に気づいている。

 まず、工業デザイナーは不可侵だ。ジョブズが亡くなるまで長年いっしょに働いていたエンジニアの小集団(なかにはアップル創設期からのつき合いもある)も同様。

 一方、DEST(「特別に優秀なエンジニア/サイエンティスト・テクノロジスト」の頭文字)の称号を与えられた少数のエンジニアは、それぞれ会社に貢献し、影響力もあるが、マネジメントの責務は負わない。

 ほかの社員については、担当製品の成功の度合いによって社内でのステータスが変わる。iPhoneとiPadが大きく成長していたとき、社内でもっとも華やかなグループは、iOS(アップルのモバイル・オペレーティング・システム)を担当するソフトウェア・エンジニアたちだった。両方のデバイスにかかわるハードウェア・エンジニアと、(これは社内でもしぶしぶながら)プロダクト・マーケティング担当者も序列の上位にいて、そのあとiTunes、iCloud、その他のオンラインサービスの組織が続いた。かつて立役者だったマッキントッシュにたずさわる社員は、このころアップルの階級でひとつ下と見なされていた。

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