鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2012年03月09日 19時20分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 年度末、鉄道ファンが忙しくなることをご存じだろうか。なぜならローカル線が廃止される節目がたいてい3月末で、今年は十和田観光電鉄と長野電鉄屋代線が廃止されるからだ。

 毎年3月にはJR各社のダイヤ改正があり、引退する列車やダイヤ切り替え日の珍しい運行がある。そんな列車に乗ったり撮影したりしようと、鉄道沿線に鉄道ファンが押し寄せる。ごくわずかだと思いたいが、行きすぎた行為で鉄道会社や他の利用者に迷惑をかけるファンが報道される。

 マナーを守れない鉄道ファンは、撮影規制、立ち入り規制など、さまざまな制限のきっかけにもなる。だから他の鉄道ファンから見ても迷惑な存在だ。珍走団(暴走族)が多くのバイク乗りを困惑させるのと同じで、まあ、どの趣味の世界にも困った人はいる。

 しかし鉄道会社から見れば、マナーはともかくすべての鉄道ファンは迷惑な存在かもしれない。いや、好かれて嫌な気分はしないと思うので、「ありがた迷惑」といったところだろう。

 なぜなら、鉄道ファンは鉄道会社のお客様ではないからである。

定期運行が終了する寝台特急日本海
廃止される長野電鉄屋代線


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