コラム
» 2012年02月29日 08時01分 UPDATE

松田雅央の時事日想:原発を再利用したテーマパークに行ってきた (1/5)

ドイツとオランダの国境近くに、原発を再利用したテーマパークがあることをご存じだろうか。この原発は1986年に完成したが、一度も稼働することなく廃止。実業家の手によって生まれ変わった施設は、一体どんなところなのだろうか。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 ドイツ北西部、オランダとの国境に近い町カルカーに原発を再利用したテーマパーク「ブンダーラント・カルカー」がある。カルカー原発は1986年に完成したものの一度も稼働することなく廃止が決まり、オランダ人実業家の手によってテーマパークへと生まれ変わった。ここは原発とテーマパークという奇想天外な組み合わせを実現した世界唯一の施設である。

yd_matuda1.jpg ライン川の対岸から見た夜景。原発とアミューズメントパークの組み合わせが超非現実的(出典:ブンターラント・カルカーのパンフレット)

冷却塔が遊具に変身

 カルカーはライン川沿いにある酪農と農業を中心とした人口1万4000人の小さな町。ほとんど起伏のない平らな土地をクルマで走っていると、無機質で巨大な原発施設が遥か彼方に姿を現す。農村地域に建つ巨大建造物としては穀物貯蔵用のサイロや川砂利採取工場などあるが、原発ほど規模の大きい建造物は極めてまれだ。

 カルカー原発は1995年、オランダの実業家ハイネ・ファン・デア・モスト氏に払い下げられ、現在はホテル・レストラン・アミューズメントパーク・メッセ会場・会議場・スポーツ施設・原発博物館を備える複合テーマパークになっている。1996年の開業当時は小さなホテルのみの営業だったが、今では年間50万〜60万人が訪れ、冬季でも200人、繁忙期には500人が働いている。ちなみにブンダーラントは日本語で言うところのワンダーランドを意味する。

 海沿いにある原発と異なり川沿いにある原発は使用できる水の量に制限があるため、巨大な冷却塔により水の蒸発熱を利用して冷却を行う。原発のシンボルとしてよく登場する「伏せたコップ」のような建造物が冷却塔だ。ただ、欧州では火力発電所でもこのタイプの冷却塔を使用するため、冷却塔のある施設がすべて原発というわけではない。

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