橋口寛事務所代表。小説家志望の学生時代を経て、ダイムラークライスラー日本法人での販売店経営支援、アクセンチュア戦略グループでの戦略コンサルティング業務に従事。その後、橋口寛事務所を設立し独立し、各種パートナーシップを組んだ企業向けのコンサルティングや教育研修を行う。
企業の大失敗の要因を分析していた我々がたどり着いた結論。それは、驚くべきものでした。
「大失敗は、トップが“名経営者”だからこそ起こる」
それが、我々チームがたどり着いた結論だったのです。補足するならば、「トップが自らを『名経営者である』と認識した時、それが大失敗の始まりとなる」のです。
自らを“名経営者”であると認識する。この危険な自己認識のことを、フィンケルシュタイン教授は「優秀さの幻想」と名づけました。大失敗を起こすトップに共通する習慣を、以下に「大失敗する人の7つの習慣」として紹介します。
みなさんの組織のトップにこのような傾向がないかどうか、みなさん自身にこのような傾向がないかどうか、ぜひチェックしてみてください。
CEOは、自分の管理能力が会社の浮沈を決めると自負しています。もちろん、そのこと自体は決して悪いことではありません。
しかし、その認識があまりにも強まっていくと、やがて自分自身で事業環境を作り出せるかのように錯覚をし始めます。結果、外部環境の変化に気付いても、「俺ならこの環境自体を何とかできる」と思い込み、変化への対応が遅れてしまうのです。
組織のトップは、よほど気を付けていないと、組織と自己を同一視し始めてしまいます。
トップに就任したてのころは、誰だって自制が効いているものです。しかし、その地位に、3年、5年、7年……といるうちに、やがて「これだけの成果をあげているのだから、組織のリソースを自らのために使用して何が悪い」と思い始めます。
トップの公私混同の結果、組織全体のモチベーションがそがれ、業績に悪影響を及ぼしていった組織は、一般に知られているよりも多く存在します。
「矢継ぎ早に決断を下していく有能な自分」の姿に酔う傾向のある経営者は、大失敗を起こしやすいことは間違いありません。絶え間なくイノベーションの続く世の中で、いかに有能な経営者といえども、たった1人ですべてを掌握することなどできるはずもありません。なのに、こうした経営者は、部下の前で「知らない」とは決して言えないのです。
世の中にはグレーが多く存在しているというのに、常に瞬時にシロかクロかを判断してしまう。あいまいさの過度な排除は、極めて危険な兆候です。
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング