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» 2012年01月16日 08時00分 UPDATE

東日本大震災ルポ・被災地を歩く:津波で町は流されたけど……石巻市雄勝地区の成人式 (1/3)

震災による津波で高台にある家や施設以外はほぼ流出してしまった雄勝地区。しかし、多くの人々の努力の甲斐あって、成人式は無事行うことができた。思い出の場所がなくなってしまった新成人たちは今、どのようなことを思っているのだろうか。

[渋井哲也,Business Media 誠]

渋井哲也(しぶい・てつや)氏のプロフィール

book 『3.11 絆のメッセージ』

 1969年、栃木県生まれ。フリーライター、ノンフィクション作家。主な取材領域は、生きづらさ、自傷、自殺、援助交際、家出、インターネット・コミュニケーション、少年事件、ネット犯罪など。メール( hampen1017@gmail.com )を通じての相談も受け付けている。

 著書に『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』(河出書房新社)、『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎)、『解決!学校クレーム』(河出書房新社)、『学校裏サイト 進化するネットいじめ』(晋遊舎)、『明日、自殺しませんか?』(幻冬舎)、『若者たちはなぜ自殺するのか?』(長崎出版)など。メールマガジン 「週刊 石のスープ」を刊行中。

 5月、被災地の人々の生の声を集めた『3.11 絆のメッセージ』(被災地復興支援プロジェクト)を出版した。


 1月9日は成人の日。全国の多くの地域で1月8日、9日に成人式が開かれた。もちろん、東日本大震災での被災地でも成人式が行われた。その1つ、宮城県石巻市雄勝地区(旧雄勝町)の式を取材することにした。

 雄勝地区の成人式は、石巻市雄勝総合支所の横にあるプレハブ小屋で行われた。旧石巻市雄勝支所は、東日本大震災による津波で大打撃を受けた。そのため、特別養護老人ホーム「雄心苑」の隣にある小島地区デイサービスセンター内に仮庁舎が置かれている。さらにその隣にプレハブ小屋があり、1階には女川消防署雄勝出張所がある。その上の階のスペースが式会場となった。

 壊滅的な被害があった雄勝地区は、高台にある家や施設以外はほぼ流出してしまった。そのため、多くの人たちに「成人式は行えないかもしれない」というあきらめにも似た気持ちがあった。しかし、関係者の思いや自ら実行委員となる新成人らの努力もあり、何とか開催にこぎ着けた。

ah_sibu1.jpg 成人式の様子

 鈴木めぐみさん(20)は新成人を代表して「忘れもしない昨年3月11日、マグニチュード9.0の地震とそれに伴う大津波が私達の故郷を一瞬にして奪っていきました。ただ言葉を失うばかりでした。たくさんの思い出の詰まった雄勝中学校はもうありません。それでもなお再開でき、みんなの顔を見ていると、中学時代のさまざまな思い出が蘇ってきます。今回の東日本大震災では、私たち以外の人も大きな心の傷を負いました。この経験を無駄にしないためにも、被害に遭われた方々や地域の復興の力となれるよう努力していきたいと思います」とお礼の言葉を述べた。

 このお礼の言葉は、鈴木さんが昨年の11月ごろから考えてきたという。「悲しい思いをしている人もいるため、いろいろ考えた。みんなの代表として、地元の力になりたい」との願いを込めた。

ah_sibu3.jpg 鈴木めぐみさんは看護学生。震災当時は避難所で救護の手伝いをしていた)
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