コラム
» 2012年01月11日 12時35分 UPDATE

神尾寿の時事日想:月間維持費1万円を実現せよ――「若者のクルマ離れ」を考える (1/3)

マスコミや経済界は「若者のクルマ離れ」と言うが、筆者には若年層向けのマーケティングがうまくいっていないことへの言い訳にしか見えない。自動車業界が今本当に考えるべきことは、若者がクルマを持てる施策を考えることではないだろうか?

[神尾寿,Business Media 誠]

 1月5日、ソニー損保が「新成人のカーライフ意識調査 2012」を発表した(参照記事)。これは1991年4月2日から1992年4月1日生まれの男性500名・女性500名(有効回答数1000人)の新成人に対し、クルマに対する関心やカーライフへの意識を調査したもの。昨今、自動車業界を中心に「若者のクルマ離れ」と言われているが、その実態がつまびらかになっている。

 まず新成人の免許保有率だが、男性62.2%、女性51.2%と全体の半数以上が保有していた。地域別の免許保有率では、都市部で44.3%、地方は60.0%。公共交通機関が弱い地方でクルマが“日常の足”となっている現状が分かるが、都市部でも4割強の新成人が免許を持っていることはやや意外だろう。ソニー損保によると、前回(2010年)調査よりも新成人の免許保有率は上がっているとのこと。一方で、免許保有者(567人)のうちマイカーを所有しているのは23.1%。しかも地方の若者が中心だ。

ah_kuruma1.jpg 新成人の普通自動車運転免許所持率(出典:ソニー損保)

若者の意識は、それほどクルマから離れていない?

 「免許は持っているけれど、クルマは持っていない」

 今回の調査では、このような若者が増えていることが分かるが、彼らは“運転免許は資格の1つ。クルマは別に欲しくない”とドライに考えているのだろうか。免許保有でクルマを持たない若者(417人)への追加調査では、かなり興味深い結果が出ている。回答者のうち80.1%の若者が、「自分の車を所有したいと思う」と答えているのだ。免許非保有者が全回答者の約5割ということを勘案しても、全体の4割前後の新成人が、潜在的には“クルマが欲しい・クルマに乗りたい”と考えていることが分かる。クルマへの興味・関心はもっと高く、全回答者のうち「クルマに興味がある」と答えたのは男性で64.2%、女性で48.2%。特に男性に至っては、2010年の前回調査より7ポイントも高くなっているという。

 また、全回答者に「クルマの価値は何か?」と問うた別の質問でも、全体の51.9%が「クルマは単なる移動手段」と答える一方で、全体の45.2%が「クルマは楽しみをもたらすもの」と答えている。

 むろん、モータリゼーション華やかりし往年に比べれば、若者のクルマへの憧れは減退しているかもしれない。しかし、これほど商品や価値観が多様化した現代において、いまだ半数前後の若者がクルマへの興味を失わず、4割強が「できれば欲しい」とさえ言ってくれているのだ。それに対して、自動車業界を中心とする経済界やマスコミが安易に「若者のクルマ離れ」と言いはやすのは、若年層向けのマーケティングがうまくいかないことに対する“単なる言いわけと甘え”ではないのか。少なくとも、クルマに興味・関心を持ってくれている若者たちに対して失礼なことだと思う。

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