コラム
» 2011年12月15日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:え、この記事が一面に? 日経型スクープの限界 (1/3)

日本で最も読まれている経済メディアといえば「日本経済新聞」だろう。だが日経の紙面を見て、「この記事が一面?」と感じたことがある人も多いのでは。読者がこのように感じる背景には、日経の構造的な問題が潜んでいるのかもしれない。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 日本で一番読まれている経済メディアはなんだろうか。多くの読者は「日本経済新聞」の名を挙げるはずだ。

 金融界や産業界担当の記者を多数擁する日本経済新聞社は、日本で一番大きな専門媒体と言い換えることもできる。だが、同社が提供するニュースと、読者のギャップが徐々に大きくなっていると感じるのは筆者だけだろうか。11月25日に掲載された、日経朝刊の一面ニュースを通じて分析した。

「やらない」と言ったら買いだった

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 11月25日、筆者は配達直後の日経朝刊の一面見出しを読んだ瞬間、驚きを禁じ得なかった。そこには、次のような見出しが載っていたからだ。

 「パナソニック スマホで海外携帯市場に再挑戦 欧州に来春新機種」

 記事を要約すると、このような感じになる。

 2005年に海外の携帯電話市場から撤退したパナソニックが、来年春からAndroidスマートフォンで海外市場に再進出。まず欧州で端末を発売し、2015年には750万台と海外市場で販売する計画、というもの。

 筆者は携帯電話、スマートフォンに関する専門知識はほぼゼロだ。ただ、素人目にも、この一面報道は奇異に映った。

 言うまでもなく、スマートフォンは米アップル社のiPhone、韓国サムスン製のGALAXYシリーズが世界市場での二大巨頭。Android搭載機が増え、サムスン以外のメーカーも多くの端末を発売しているが、日本勢は大きく遅れを取っている。もちろん、パナソニックとて例外ではない。

 パナソニックがiPhoneやGALAXYシリーズを凌駕するような新製品を開発中なのか、一応旧知のアナリストや専門家に尋ねたが、芳しい答えは得られなかった。パナソニック関係に当たっても同様だった。

 パナソニックは日本を代表する大手家電メーカーであることは間違いない。ただ、近年のテレビ事業の低迷を知る人間としては、スマートフォン事業が同社の描くシナリオ通りに展開するのか、という素朴な疑問を抱いた。

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