欧州金融不安や中国の景気鈍化懸念に休日前の手仕舞い売りで大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月24日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8314.74▼33.53

<TOPIX>717.79△0.71

<NYダウ>11257.55▼236.17

<NASDAQ>2460.08▼61.20

<NY為替>77.30△0.41

欧州金融不安が根強いことや中国の景気鈍化懸念に休日前の手仕舞い売りが嵩んで大幅下落

 今度はドイツ国債の入札不調が取りざたされたことや中国のPMI(製造業購買担当者景気指数)が予想を下回り、好不況の分かれ目となる50を割り込んだことなどが嫌気されて売りが先行、感謝祭休日前の手仕舞い売りやヘッジ売りも嵩んで大きな下げとなりました。耐久財受注は予想を上回って前月よりも増加したものの、非国防資本財受注が減少、消費者信頼感指数は前月より改善したものの予想を下回るという状況で、地合いの悪い時には芳しくないと判断されて売り材料となり、決して悪い数字でもないのですが、相場の下支え要因とはなりませんでした。

 国債入札は順調でしたがこれも「質への逃避」としてドルが買われる要因となり、相対的にユーロ安=欧州不安に拍車をかける格好となりました。景気に対する懸念もあるのですが、多分にQE3(量的緩和)に対する期待もあり、好決算を発表する銘柄もいまだ多く、経済指標も決して悪いと言うことでもないので、クリスマス商戦が盛り上がるようなことになれば、底堅さもみられると思います。クリスマス商戦が芳しくないものであれば、さらにQE3に対する期待が強まってくるのだと思います。

 個別には中国景気鈍化懸念、世界的な景気鈍化懸念からアルコアが大幅下落、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなど景気敏感株やインテルやアップル、IBMなどハイテク銘柄などが軒並み軟調、クリスマス商戦の始まりを前に景気鈍化懸念からメーシーズが大幅安、ウォルマートやコカ・コーラも軟調となるなど消費関連銘柄も総じて軟調となりました。欧州金融不安が拭い切れないことから、バンク・オブ・アメリカやシティーグループ、JPモルガン・チェースなど金融株が大幅安、商品相場も軟調となったことからエクソン・モービルなど石油株やパブリック・ゴールドなど金鉱株なども安くなりました。好調な決算と強きな見通しを発表したディア(農機メーカー)などが散発的に買われました。

本日の相場

日経平均

 休日前の日本市場は米国株が大幅下落となったことから売り先行となり、大幅安の始まりとなりました。ただ、為替が円安に振れる場面では買戻しを急ぐ動きもあって堅調となる場面も見られるなど持高調整の買戻しも入り底堅い堅調な展開となりました。外国人も売り越し基調となったのですが、持高調整の買戻しも多かったのではないかと思われ、その中での買い戻しで底堅さもみられました。

 米国株が大幅下落となったこと、欧州金融不安が拭いきれず、かえって不安が増加していることに加え、中国の景気鈍化懸念もあり、本日の日本市場は休日前の地合いを受けるように下値を試す展開が続くものと思われます。ただ、年初来安値水準であることに加え、米国市場が休場になることから、中国市場などで景気鈍化への反応が少ないと底堅さもみられると思います。米ドル以外で円高が進んでいることから輸出株は敬遠されるのでしょうが、日銀のETF(上場投資信託)買い期待もあって底堅さはみられると思います。ゲーム関連銘柄などが幕間つなぎ的に物色される可能性もありそうです。

 日経平均は下値目処とみられた8200円〜300円水準を割り込む可能性が出てきました。ただ、米国市場が休場となり、クリスマス商戦を見極めるという動きになると思われ、中国でも景気鈍化からの金融緩和期待、欧州での金融不安もクリスマス商戦での「休戦」も期待されることから、底堅さもみられると思います。9200円を割り込んで投げ売りが一巡すると底堅さもみられ、8200円水準を割り込んでも誤差の範囲となるのではないかと思います。円売り介入などがみられれば一段と底堅い動きとなるのでしょう。

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