運動する人は、なぜ頭の回転がいいのかできる人の脳が冴える30の習慣(3/4 ページ)

» 2011年10月27日 08時00分 公開
[米山公啓,Business Media 誠]

 セロトニンはストレス物質であるコルチゾールを抑制していくので、ストレスに弱くなっている脳を保護するように働きます。最近の抗うつ剤は、セロトニンが増えるように作用します。

 さらに、脳内のネットワークを増やす重要な物質であるBDNF(脳由来神経栄養因子)が増えてきます。そのために、コルチゾールからの攻撃を防ぐこともできるのです。

 また、神経細胞の情報を発信する電話の役目をする軸索を作るタンパク質も増えるので、情報処理が早くなって思考や運動もすばやくなります。

 SSRIと呼ばれる抗うつ薬は1週間以上飲んでいないと効果が出てきませんが、この軸索の変化に時間がかかるからではないかと推測されています。

 そのほかにも増えるものは、血管内皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、インスリン様成長因子などです。これらの物質は、神経細胞をさらに活性化していくことになります。

素振り1000回で脳が運動プログラムを作り上げる

 運動と記憶は関係のないことのように思いますが、実は非常に深い関係にあります。

 プロのスポーツ選手は、同じ動作の繰り返しを続けます。

 野球であればバットスイング、ゴルフも何度もショットの練習をします。この繰り返しにはどんな意味があるでしょうか。

 よく、スポーツ界では「体で覚えろ」というような指導をしますが、実は繰り返しの運動によって、体が覚えるのではなく、脳が最適な運動プログラムを作り上げて、強固な記憶を作っているのです。

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