では、日本も米国のように「C to C」が進んでいくのだろうか。そして、それは歓迎すべきことなのだろうか。
メリットを先に挙げると仲介料が発生しないのは良い。情報がオープンなことも良い。消費者は、今までより多様な選択肢の中から、コストを抑えて住宅を選ぶことができるようになるだろう。
しかし「C to C」が進んでいけば、「B」の企業側のサービスが必要とされなくなり、住宅選びにおいてアドバイスを求める相手がいなくなる。「一生に一度の買い物」と言われるほどの大きな買い物を自己責任で判断しなくてはいけないのだ。
米国の場合は、自己責任の文化が元々、根付いている。家選びもクルマ選びも自分の判断で決めるし、失敗すれば自分が勉強不足ということになるから、必死にインターネットなどで情報を集める。また、米国人は中古住宅を何度も購入するので、住宅購入の経験値が高い(一生に平均14回引越しをするという統計もある)。結果として、賢い消費者が育ちやすい土壌があり、逆に言えば、Bの果たす役割が小さいというのが米国の特徴である。
一方、日本には充実したサービスがあることで、消費者は営業マンに購買行動を依存しがちだ。家選びに関して言えば、営業マンは住まいの情報や住宅選びの基準というものを顧客に伝えてこそ「良い営業マン」とされている。家選びの“プロフェッショナル”と認められれば、その営業マンに頼る顧客が増えていき、その結果、付加価値も高まっていく。
また日本の場合は、注文住宅の比率が海外に比べて高かったという事情もあった。これは、企業側(B)が商品の提供プロセスにおいて付加価値をつける領域が大きかったことを意味する。しかし近年、建売住宅や中古住宅といった流通比率が増えていく中で、付加価値をつけることは容易ではなくなってきている。
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