欧州金融不安が根強く大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年10月18日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8879.60△131.64

<TOPIX>761.88△13.07

<NYダウ>11397.00▼247.49

<NASDAQ>2614.92▼52.93

<NY為替>76.81▼0.07

企業決算に好調さは見られるものの欧州金融不安が根強く大幅下落

 足元の銀行決算などにも好調なものがみられたのですが、週末のEU(欧州連合)首脳会議で欧州財政問題の解決がみられないことや銀行に対する資本増強の問題などが示されたこと、フランス国債格下げ懸念が強まったことなどから、手仕舞い売り急ぐ動きとなり、大幅安となりました。四半期決算が本格化するなかで決算とは関係のないところでの不安から売りが嵩みました。週末の大幅高の反動、ここのところの戻り歩調の反動ということもあり、大きな下げとなりました。

 個別企業の問題とか、業種的な業績問題ということではなく株式、商品など資金の流れ自体の問題ということで、銀行に関しての懸念が強まると一斉に手仕舞いの動きとなるようです。リーマン・ショックのようなことはないと思いますが、市場では過敏に反応してしまうということでしょう。決算発表が行なわれるなかで、徐々に足元の業績面を見直す動きとなり、落ち着きも出てくるのだと思います。

 個別には朝方発表した四半期決算が予想を下回ったことや欧州金融不安からウェルズ・ファーゴが売られて大幅安、予想を上回る決算を発表したシティグループも軟調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカも軟調と金融株は総じて軟調となり、アルコアやキャタピラー、HP(ヒューレット・パッカード)が大幅安となるなど景気敏感株も軒並み軟調となりました。金や原油の先物価格も軟調となったことから、エクソン・モービルやパブリック・ゴールドなど石油株や金鉱株も軟調、ウォルマートやコカ・コーラなど消費関連も安くなるなどほぼ全面安となりました。ウエスタン・デジタルはタイの洪水被害が拡大したことから売られ大幅安、IBMは引け後の決算発表で売上高が予想を下回ったことが嫌気され、時間外取引で一段安となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は先週末の米国市場が大幅高となったことや円安となったことから買いが先行、大幅高となりました。ただ、寄り付きの買いが一巡となった後は積極的な売り買いに乏しく、値持ちは良いものの方向感に乏しい展開となりました。売買代金も8000億円台と極端に少なく、いろいろな材料に反応しきれないという感じでした。外国人も売り越し基調ということで買い気に乏しく、大幅高ながらもいっこうに盛り上がりに欠ける展開となりました。

 米国市場が大幅安となったことや昨日の相場でも上値の重さを確認したことなどから軟調な展開となりそうです。先週来買戻しを中心にしっかりと戻して来たハイテク銘柄や機械株、自動車株なども円高となったこともあって手仕舞い売りや見切売りも嵩んでくると思われます。昨日の大幅高でも売買高も少なかったこともあり、ちょっとした売りで大きく下げてしまうものも出ると思われます。昨日までのように日中の値幅は相変わらず小さそうですが、中国の経済指標の発表などに振らされることもあると思います。

 日経平均は8800円〜900円水準での上値の重さを確認する格好となりました。ようやく円安方向に戻りつつあるのかと思ったのですが、再度円高に振れており、決算発表を控えて手仕舞い売りや見切り売りが嵩むと下値の節目である8500円〜600円水準での底堅さを確認するような動きとなると思われます。本日は中国の経済指標の発表などに振らされる場面もあるのかもしれませんが、円高懸念が残るうちは8800円〜900円水準が上値ということなのだと思います。

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