コラム
» 2011年10月18日 08時00分 UPDATE

人事部の“会社観”のせい? 新卒採用でミスマッチが起こる一因 (1/2)

「どの会社の採用広告を見ても同じようなことを書いてあって、読んでも違いが分からないので、とりあえずエントリーしてみるしかない」。そう学生に思わせてしまうのは、人事部が自社のことをよく理解しないまま広告を作っているからではないだろうか。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 ビジネスマンの目から見ても、新卒採用のサイトに並ぶ採用広告は、非常に似たものがズラリと並んでいるように見える。ましてや、基礎知識に乏しい学生の視点では、どれもこれも同じように感じるだろう。

 「採用活動(就職活動)がネットに移行してから、エントリーが簡単になり、よく会社のことを分からずに応募してくる学生が増えた」というのが昨今の採用側の不満であるが、学生側から言うと、「どの会社を見ても同じようなことを書いてあって、読んでも違いが分からないので、とりあえずエントリーしてみるしかない」ということではないかと思う。

 実際に、会社を語るにはさまざまな切り口があるはずなのに、自社の魅力を十分に考えないまま広告作成を外部のライターや制作担当者に丸投げしてしまう会社が多すぎる。

 「学生が見るのだから、若い社員が元気よく働いているのが分かればいいだろう」「新人でもすぐに溶け込めるような、雰囲気のいい社風であるのが伝わればいいだろう」といった、実に安易なウリを掲げている会社の多いこと。

 採用サイトのオープン時期に合わせて、取材しなければいけない会社が一時に集中するライターにしてみれば、そのように深くその会社を理解する必要がなく書いてしまえるのは楽であろうが、似た情報の中から「志望する会社を絞って選択せよ」と言われる学生は、たまったものではない。

 採用広告は、人事の「会社観」が表れる。当社の強みや特徴は何か。当社の目標と戦略、それに対する問題点は何か。

 企業の目的の達成や戦略の遂行に対して、組織や人を最適化するというミッションを持つ人事部が、これらを自問自答し続けるのは当然だ。内部から深く事業や組織や人を理解し、それらを歴史や未来や事業環境からとらえなおし、さらに客観的に批判精神を持って検証してみるといった作業を通して、社内の誰よりも自社を理解していなければならない。そうして生まれた自社に対する識見がベースになければ、人事部における企画系の業務は、思い付きや横並びや流行に頼るしかない。会社は多様であるのに、やっていることが似たようになるのは、そういうことであろう。

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