脱原発、あなたは賛成しますか?原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(4)(1/4 ページ)

» 2011年07月08日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 2011年4月12日、原子力安全・保安院は福島第1原発事故の国際原子力事象評価尺度(INES)による評価を、最悪の「深刻な事故」であるレベル7に引き上げた。起こしてはいけない事故を、起こしてしまった日本。この事実は福島から離れたところの人たち、東京、名古屋、大阪などの都市部も含めて目を向けていかなければいけない。

 朝日新聞社が6月に行った世論調査によると(関連記事)、74%が「原子力発電を段階的に減らして将来はやめる」ことに賛成と答えた。また原子力発電の利用に賛成という人(全体の37%)でも、そのうち6割ほどが「段階的に減らして将来はやめる」ことに賛成とした。

 この結果をみると、多くの日本人が「脱原発」に賛成しているようだが、一気に原発を止めるべきなのだろうか。節電をすることで、さまざまな問題が起きていることも忘れてはいけない。

エネルギーというのは“権力”そのもの

武田邦彦教授

原口:エネルギーというのは、実は“権力”そのものです。その権力をもっている東京電力は、計画停電を行いました。僕は計画停電に大反対しました。総務省に計画停電を行った根拠を聞いたところ、返事がないんですよ。

武田:返事がないのは、思いつきでやったからじゃないでしょうか。計画停電をしたせいで、産業はかなり痛んでしまいました。「工場の機械が動かせない」と困っている中小企業の経営者はたくさんいましたから。

原口:中小企業だけではありません、交通も相当痛みました。また命の危険にさらされた人たちは、かなり不安を感じたと思います。

武田:病院で入院している人は、特にそうでしたでしょうね。また寝たきりになっている人も、不安に感じたことと思います。

原口:これまでエネルギーというのは「大規模・独占・集中・排除」が基本でした。つまり権力の基本でもあるんです。それを「小規模・分散・自立・共同」にして、地球環境に責任をもつことが大切です。

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