脱原発、あなたは賛成しますか?原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(4)(2/4 ページ)

» 2011年07月08日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

武田:節電の影響を受けて、大学の教室が暑くて授業にならないんですよ。教室の中がものすごく暑くて、教授たちは「ふーふー」言いながら教えています。そして生徒は「ぼーっと」聞いているだけ。

原口:ひどいですね。2003年、欧州は電力不足でもなかったのに、多くの人が熱中症で命を失いました。欧州で起きたように、今年の夏、日本でも多くの人が命の危機にさらされるかもしれません。こうしたリスクを考えなければいけないのに、十分議論されていないように感じています。

武田:しかしなぜかこうした議論になってしまう。「節電すると、いろいろと大変だ。なので原子力と向き合わなければいけない」と。

原口:大阪府の橋下徹知事は関西電力に「節電は協力しない」と言っていました。

武田:そうですね。

原口:関電はデータも出さずに「15%節電をしてくれ」と言ってきましたが、15%も節電すれば産業の力がどうしても落ちてしまう。

原口一博議員

武田:関電が発表した15%の節電要請を受け、日本電産の永守重信社長は「一部の拠点を海外に移することになるだろう」と話していました。でも会社……特に優良な会社が海外に行ってしまうと困るんですよ。

 厚生労働省と文部科学省によると、2011年3月に卒業した大学生の就職率は91%でした。この91%という数字は、比較可能な1996年度以降で最低です。それほど学生を取り巻く雇用環境は深刻なんですよ。大学を卒業しても約1割が就職できない時代なんですから。

 かつて、日本ではこのような会話が当たり前のようにされていました。子どもは親父に「なんで僕は勉強しなくてはいけないの?」と聞くと、親父は「大学を卒業すれば立派な会社に就職できるからだ」と答えていた。しかし今では大学を卒業しても、働き場所がない。

 今回の原発事故を受け、一部の企業は海外移転を考えています。または既に移転している企業もあります。海外に移転する企業が増えていけば、大学生の就職はますます難しくなっていくでしょうね。

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