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» 2011年07月01日 16時28分 UPDATE

今もっとも注目すべき作家・名和晃平「シンセンス」 (1/3)

名和晃平初めての大規模個展では、彼がこれまで手がけた作品を体系的に見ることができる。全身の感覚を開いて、名和の世界へ。

[上條桂子,エキサイトイズム]
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 ビー玉を体中に貼り付けた鹿を見たことがあるだろうか。もちろん野生ではなくて剥製の鹿、である。大小さまざまな大きさの丸いガラスビーズを身にまとった鹿は、遠くから見ると何かデキモノができているようで少々気味が悪い。

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 ともすると、キラキラと丸い飾りがついてキレイだわあ、という人もいるだろう。近づいてみると、部分によってクリアなビーズの奥にある体毛が密集している様子が拡大されて見えたり、ガラス同志が反射して真っ白い像が表れたり、ガラスの中にある気泡が歪んだ形で見えたり……。鹿を見ているようで、そこにあるものはすでに鹿じゃない違う物体になっている。果たして、目の前にいるものは、何なのか?

エキサイトイズム 「Pixcell-Elk #2」2009, Work created with the support of the Fondation d'entreprise Hermes (c)2011 Kohei Nawa「名和晃平─シンセシス」2011年 展示風景 東京都現代美術館 撮影:豊永政史(SANDWICH)

 いま、日本はもとより世界からも多くの注目を集めている、若手現代美術家・名和晃平の個展「名和晃平展─シンセンス」が、東京・木場の東京都現代美術館で開催されている。本展では、名和氏がこれまで取り組んできた7つのシリーズ、そしてそこから派生した5つ、計12の部屋で名和晃平の作品世界が堪能できる構成になっている。

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 冒頭で紹介した作品は「BEADS」シリーズ。名和氏が学生時代から疑問を持ち続けていた、情報化時代における「虚像」と「実像」の本質に迫るものだ。インターネットのオークションで集めた素材をガラスビーズで覆う。素材である剥製は、ネット上では1つの「情報」であり、届いた時点で「実体」となり、ガラスビーズで覆われるとその実体が失われ、ガラス越しに見た鹿の剥製は「虚像」となる。しかしビーズで覆われた鹿は物体として確かにそこに存在するので、「新しい実像」ともいえる。

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