スタグフレーション懸念から大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月16日 08時51分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9574.32△17.69

<TOPIX>812.95▼1.50

<NYダウ>11897.27▼178.84

<NASDAQ>2631.46▼47.26

<NY為替>80.95△0.50

スタグフレーション懸念から大幅下落

 ギリシャ問題から欧州金融不安が再燃したことや朝方発表されたニューヨーク連銀景気指数が予想に反して悪化、鉱工業資産指数も小幅な伸びにとどまり、消費者物価指数は予想を上回る上昇となったことでインフレだけではなく「スタグフレーション」が懸念されて売り急ぐ動きとなりました。前日の大幅高の反動から手仕舞い売りも出やすかったとはいえ、前日の上げ幅以上の下落となりました。

 いよいよQE2(量的緩和)終了ということで疑心暗鬼ななかで、されに経済指標の悪化や欧州金融不安からの信用収縮の動きもあって大きな下げとなりました。QE2終了という不安が強まる中で物価の予想以上の上昇がみられ、金融緩和政策が取り難くなるのではないかとの懸念も売りを加速させてしまったのだと思います。FRB(連邦準備理事会)の何らかのアクションを期待しているのだと思います。

 個別には欧州金融不安が強まったことからJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が安く、世界的な景気鈍化懸念が再燃したことからインテルやIBMなどのハイテク銘柄、アルコアなどの素材株、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラーなど景気敏感銘柄が軒並み軟調、ホーム・デポやウォルマートといった個人消費関連、プロクター・アンド・ギャンブルやコカ・コーラんどのディフェンシブ銘柄も安く、ほぼ全面安といった状況でした。金価格はしっかりとしたことからパブリック・ゴールドなど金鉱株は底堅いのですが、堅調と言うこともなく、原油価格の下落を受けてエクソン・モービルなど石油株も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったことなどから、買い先行となりましたが、前日の大幅高である程度織り込んでいたことから、上値も重く、一時軟調となる場面もみられるなど冴えない展開となりました。積極的に買い上がる材料にも乏しく、先行き懸念から材料のあるものですら素直に反応しきれないと言うような状況でした。外国人も買い越しと伝えられたのですが特に目立つような買いも見られず、終始方向感に乏しい展開となりました。

 米国市場が大幅安となりユーロが売られたことから軟調な展開となりそうです。ただ、昨日とは反対に既に米国株安を織り込むかのように昨日の相場も冴えない展開となっており、底堅さはみられると思います。世界的な景気鈍化に対する懸念は根強いのですが大震災の影響もあって既に織り込まれている面もあり、底堅さもみられるのでしょう。ただ、信用収縮の動きが加速するようであれば、買い手不在で冴えない展開が続くことになりそうです。代替エネルギー関連銘柄などを物色する動きが続くのかどうかが注目されます。

 本日軟調となり9500円水準を割り込むと、一段と9500円〜600円水準での上値の重さが気になり、下値を試すことになりそうです。9500円台を保つようであれば今度は9500円〜600円水準での「底堅さ」という印象が強まるのだと思います。いずれにしても指数というよりは幕間つなぎ的に値動きの良い銘柄を物色する動きは続きそうで、指数に方向感はみられないのでしょう。

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