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» 2011年06月09日 12時00分 UPDATE

日本の原子力政策を訴える――法曹家の卵が原発の行政訴訟を起こした理由 (3/4)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

小出裕章さんや広瀬隆さんの助力をあおぎたい

――今回の訴訟は単独で行われているのでしょうか、それとも何らかの団体の背景があるのでしょうか。

江藤 何らかの団体の背景があるかということですが、まったくございません。

――原発の専門家の助言などは得ているのでしょうか。

江藤 この点はある程度、目途があります。私は静岡県立大学で国際政治学者として教鞭をとっておられた前坂俊之さんと知り合いで、前坂さんは原発関係の技術者、例えば(京大助教の)小出裕章さん、(作家の)広瀬隆さんといった、今まで原発訴訟でたびたび登場してこられた方にインタビューしています。そのつてで連絡をとっていただいていると信じています。

 また、私の妻が精神科医をしているので、原発事故が人々のメンタルヘルスに与える影響という面から、何らかのサポーティブな意見がいただけると期待しています。

――訴訟費用の資金源はどのようになっていますか。

江藤 資金源は特にありません。日本での訴訟は、非常に値段が安くなっています。弁護士を使わない限り、原子炉を1基止めるために私が裁判所に払わないといけないお金は1万3000円です。

――1人で起こされた訴訟ということですが、今後、原発事故の被害者を原告人に入れていくおつもりや、その準備はどのようにされているのでしょうか。

江藤 原発事故の被害者の方を原告に加えるつもりはございます。ただ、「1人おられれば十分」と考えています。なぜなら、損害賠償請求などと異なり、原告としての資格が得られるかどうかというのは、とりあえずその人が「被害を受けた」と言えたら、こういう訴訟では十分なので、1000〜2000人という大規模な集団訴訟を起こす必要はないからです。

――日本の行政訴訟には非常に閉鎖的なところがあり、「訴えの利益があなたにあるか」という問題で門前払いされる可能性もあると思うのですが、その点についてどのようにお考えですか。

江藤 この点に関しては、分けて質問に答えることが有意義だと思います。

 福島第一原発は廃炉になっていることがもう決定しているので、ここについては「判決の必要性がなし」と裁判所から蹴られる可能性も高いです。しかし、福島第二原発の場合、まだ廃炉が決定していないので、「判決の必要がある」と裁判所が認める可能性はより高くなります。

 そして、茨城県の東海(第二)発電所は廃炉という話は全然出ていませんし、運営主体も東京電力ではなく、日本原子力発電という別の会社です。そのため、東海(第二)発電所については「判決の必要性がない」と裁判所が言うことは決してないと思っています。

 さらに付け加えると、福島第一原発や福島第二原発について、「原子炉設置許可の無効確認の判決を下す必要性がない」と裁判所が言ってきた場合は、訴訟の内容を損害賠償請求に変更するつもりです。この場合は「福島第一原発の事故で受けた精神的ダメージを保障しろ」という話になると思いますが、いずれにせよ裁判所は原発の設置が合法的だったかどうかについての判断に踏み込まないといけなくなります。

ah_eto3.jpg 東海発電所(出典:日本原子力発電)

――こういう行政訴訟が仮に進展して、良い結果が出そうになっても時間がかかると思います。1票の格差是正についての裁判も、最初は越山康さんという弁護士が1人で始めて、最高裁で違憲状態の判決が出るまで何十年もかかりました(参照リンク)。そういう風に長い訴訟となることを覚悟していますか。

江藤 この点に関しては、あまり心配していません。なぜなら、最近になって日本の行政訴訟の判決は非常に早くなってきているからです。1票の格差の訴訟に関しても、2009年8月の衆議院議員選挙についての最高裁の判決は2011年3月に下っているので、2〜3年でかたが付くようになっています。また、これは余談ですが、2010年の参議院議員選挙の1票の格差が憲法違反という訴訟は私も原告をやっています。

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