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» 2011年06月03日 11時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:「リクシルって知ッテル?」って知っテル? 7本連続CMの舞台裏 (1/3)

トステム、INAX、サンウエーブ、新日軽、TOEXの5社が合併し、4月1日に誕生したLIXIL。その知名度を上げるため、7本のテレビCMを毎週放送するプロモーションを行っている。そのプロモーションの裏側を仕掛け人に尋ねてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 部長の岸部一徳さんは課長代理の堤真一さんを呼びつけた。

 「リクシルって知ってるかい?」

 「サッカー選手か何かですか?」

 「いや人ではなかったな、人だったかな」 

 「どっちですか」と畳み掛ける課長代理。

 奇妙でおかしな余韻を残す15秒。2011年5月21日から始まった“リレーCM”シリーズの第1弾である。

【LIXIL】リクシルって知ッテル?? 岸部一徳×堤真一

 ちょうど1週間後の5月28日にスタートした第2弾。堤さんが後輩の大森南朋さんとそば屋で昼飯を食べるシーン。課長代理「リクシルって知ってるか?」、後輩「…汁?」、課長代理「そりゃ味噌汁だ」。大森さんの“大盛り頭”やビミョウな表情がクスッを誘う。

【LIXIL】リクシルって知ッテル?? 堤真一×大森南朋

 演技派俳優による会話の伝言ゲームCMは、LIXILの全7話にわたるシリーズ。それぞれ1週間だけ放映、土曜スタート金曜エンドで“知ッテル?”をつないでいく。6月4日からの第3弾では、あの美人女優がキリリと登場する。なぜこんな手のこんだCMを?

 「『●●と××は合併して1つになりました』ならともかく、5社の名前まではとても覚えてもらえません。そこで5つすべてを狙うのはやめて、1つだけ、リクシルだけを覚えてもらおうと考えました」

 統合会社の社名認知度アップのプロジェクトを担当する、同社宣伝プロモーション部石橋和之部長はそう話す。石橋さんの言う5社とは、トステムとINAX、サンウエーブ、新日軽、そしてTOEXである。もう10年も前にトステム、INAX、東洋エクステリア(現TOEX)が経営統合し住生活グループが発足している。2009年からサンウエーブ、そして2011年から新日軽が加わり、4月1日付けで5社合同のLIXILが誕生。でも……そもそも住生活グループって知ッテル?

ah_default_il001.jpg 5社合併の歴史

 「認知率はトステム、INAXが90%を超えていますが、住生活グループは20%未満でした」

 LIXILは「住」(LIVING)と「生活」(LIFE)の造語である。今回の統合で6万人を超える巨大企業が誕生した。ブランドを残したまま、各社を機能別に分解して営業カンパニー、金属・建材カンパニーなど5つに編成。5本の矢をたばねる住生活グループは“グループ名”であり持ち株会社だが、リクシルは“会社の名前”である。1年にわたるプロモーションでリクシル認知率を40〜60%に上げたい。販売の現場で名刺交換して「リクシルって何ですか?」では商売にならないのだ。

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