上値の重い冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月10日 16時07分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が堅調となったことで買い先行となりましたが、円高と言うこともあり上値の重い冴えない展開となりました。軟調となる場面も多く、中国の貿易統計で経済の拡大が続いていると確認されて若干買い戻しなども見られ、好調な決算に反応して買われる銘柄も見られたのですが、逆に好調な決算を発表しながら出尽くし感や今期業績見通しが芳しくない、あるいは業績見通しを示さないことが嫌気されて売られると言う状況になっています。

 以前にも述べましたが、企業業績の発表が四半期ベースとなり、企業自身の業績見通しを発表するのが「当たり前」のようになりましたが、企業情報の開示を速やかにかつ詳細に行うことは良いことではあるのですが、本当に市場ではそこまで求められているのでしょうか?取引時間中に発表になる決算への反応はもちろん、引けた後に発表になった決算への反応も「市場の動きを見てから」と言うことが多いのではないかと思います。もちろん皆が同じタイミングで同じものを見ているのですから、反応が同じようになるのも無理はないと思いますが、 良い決算だろうが悪い決算だろうが、動いた方に大きく動くという傾向にあるのではないかと思います。

 そして、企業の予想よりも証券会社などの予想の「平均」よりも良いか悪いかなどを判断材料としていることも多く、本当に企業の成長性や利益率の動向、あるいは株価にどこまで織り込まれているのかを見極めて投資をしていることも多いのではないかと思います。もちろん目先筋がその動きに乗って儲けるということはそれはそれで良いのでしょうが、誰もが同じように市場予想の平均などを見ながら善し悪しを決めているのはちょっとおかしいのではないかと思います。

 事前の予想を上回ったのであれば、何故上回ったのか、逆に下回ったのであれば、何が予想と違ったのかを見極めて株価にどの程度織り込まれているのかを判断しなければならないと思います。また、企業が示す業績見通しが市場の予想を下回ったとしても単純に「最悪」を考慮したことで下回ったと言うケース等も考えられ、その場合は予想の上方修正が必至とすれば、少なくとも売り急ぐ必要はないと思います。決算に反応するのであれば目先的に反応するのかしっかりと見際めて中長期的に反応するつもりなのかはっきりとさせた方が良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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